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 アニメ「けいおん!」の第11話「ピンチ!」・最終回「軽音!」・番外編「冬の日」とまとめてのネタバレ感想です。
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●第11話「ピンチ!」

 第7話の時に、軽音部でできた新しい絆とは別に、唯と憂の昔からの長い絆が描かれていた、律と澪でもそういうの見たいなーと書いていたのですが、それが実現した感じ。

 最終回の唯を看病する憂と平行になっていて、律を看病する(というかお見舞いにくる)澪という構図。どっちもスペックが高いのは憂であり澪なんだけど、だけどメンタル面では逆に二人は唯と律に支えられているという不思議。

 あとは、和と仲良くなってきている澪に、なんとなく、澪はわたしのだ! 的行為に出てしまう律というのはわりと分かったな。百合とかじゃなくてもわりと人間関係全般に通じる心理のような気がする。

●最終回「軽音!」

 ずっと、写真とかカセットテープが象徴的に作中に使われていたことから、最終回は未来時間軸からの過去の回想で終わるんじゃないかと書いていたのですが、一歩も二歩も上を行かれて素直に感動できた。

 基本的には予想的中で、最後は唯を待つ軽音部の「ふでペンボールペン」をBGMに、唯が第1話をリフレインしながら、未来軸である今から、過去の自分に語りかけるという展開。第1話冒頭と同じ「駆ける唯」というリフレイン映像ながら、最終回では唯はギターを背負っているという演出がニクかった。

 「このまま大人になっちゃうのかなって思いながら」

 のところでぐわっと涙腺にきてしまった。問答無用でそういえば昔そんな感覚を抱いていたというような共感を感じてしまった。それでも、「いつか終わるけど切り取られた今という輝いた時間」という「けいおん!」が描こうとしていたモチーフ的に、第1話から最終回まで流れた時間は輝いていたと確信できるから、唯は「あの頃の私、心配しなくていいよ」と言えると言う。そうやって駆ける唯の時間をかせぐ間、一度輝いた時間が終わってしまったさわ子先生が唯の代行をしてくれているのも熱い。あくまで唯の代理でリードをやるのを拒否するあずにゃんに対して、実は即席でもリードを出来るくらい実力があって、ただ昔自分にもあったような輝いた時間を今の子のために守るためだけに代理で入るというカッコいい大人だ。猫かぶってるという一般生徒向けの仮面を取るという代償も払ってるんですが、そんな代償よりこの子達のライヴの時間には意味があると当たり前のように代行して、唯が辿り着いたら華麗に去っていくのが非常にカッコいい。

 そして全てが集約されている唯のラストMC、

 「でもここが、今いるこの講堂が私達の武道館です」

 きっとこの先本当に彼女らが武道館ライブをするようなビッグバンドになることはないのだけれど、今確かにある輝いた時間は、本物の武道館と比べてどうこうというものじゃない。最初の合宿で花火をバックにエアギターする唯の姿に澪が見た輝きであり、あずにゃんが新歓ライブで目撃した輝き。それは本物だから、この講堂が武道館。

 これで、このままエンディングで全ては写真になって、未来軸の誰かが懐かしそうに振り返っている……みたいなエンディングだと予想してたのですが、上を行かれたのが、紬がもう一回演奏を開始するのね。この輝いた時間を終わらせたくないとでも言うように。ここで劇中で初めて紬が積極的な自分の意志を主張してかつ視点キャラになっているというのが感動的。視点キャラというか、ずっと他のメンバーのドタバタを見守る的なポジションにいたため、視聴者とシンクロするキャラになっている。また要所要所から、お金持ちのお嬢様で早くから大人の世界に入らせられたため、誰よりも軽音部の時間を大事に想っているフシがあるように描かれていたのも効いている。

 そして、そのまま輝いた「今」は終わらず、どこまでも演奏し続けるとでも言うようなフィナーレ。これは予想より数段上を行かれたなぁ。「写真」「カセットテープ」なんかが、「いつか終わる輝いた今、かつてあった輝いていた過去」を象徴する装置で、「ライヴ」が「輝き続ける今」を象徴する装置だったんだな。最後に、全てが「写真」や「カセットテープ」になってしまう前に、紬が「ライヴ」を続行する。それにみんなが共鳴するというのが感動的だった。

●番外編「冬の日!」

 中盤まで他のメンバーがいつもと違う雰囲気で、なんとなく「輝いた今」は終わってみんなそれぞれの道に別れていってしまうのではないか、バラバラになってしまって、輝いた時間もなかったことのように現実に押しつぶされてしまうのではないか、みたいな不安が過ぎるように描かれます。それぞれ、恋愛(律)、バイト(仕事)(紬)、病気(梓)というのが、大人が抱えている問題としてリアルだった感じ。

 それが、中盤に一斉に送られてくる唯のアホなメールで、いきなり反転。最後はまたみんなで集まって、「輝いた時間」には意味があったし、これからも集まろうと思えば集まれる、大丈夫、というような落としどころ。わりと、大人視聴者向けのお話だったんじゃないかと思います。ここで「輝いた時間」を繋いでいるのはやっぱり唯なんだよなー。そりゃ、唯のことみんな大好きだよって最終回にりっちゃんから言われるよなー。

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→前回:第10話「また合宿!」の感想へ
→次回:番外編「ライブハウス」の感想へ
→次回:まんがタイムきらら10月号掲載分の感想へ
→次回:第二期「けいおん!!」第1話「高3!」の感想へ
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