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 今週のジャンプ分の「バクマン。」、53話「18と40」のネタバレ感想です。
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 個人的に蒼樹さんが一番カッコいいのだが。

 抑圧されていた部分から解放されて、縦横無尽に暴れ回ったであろうラスト5話の全開蒼樹ワールドのハイドアを是非読んでみたかった(劇中劇だけど)。

 本人も言っている通り、蒼樹さんは思いっきりジャンプ向けじゃなかったからね。十代の少女層あたりをターゲットにして、蒼樹ワールド全開のプロダクトアウトタイプの作品を書けば、きっと大衆向けに大成はしなくても、一部のコアファンから崇められる作家になるタイプに感じる。蒼樹教の樹立に向けて、世界は今日一歩進んだのです。

 真面目には、バクマン。でずっと一つのポイントになっている、「自分の好きなことを描くか、大衆(読者)を優先してランキングを目指すか」の対立構造を担ったキャラだったのだろうと。

 好きなことに傾いていた新妻エイジがサイコーのアシスタント話で、ちゃんとランキング向けに自分を改善したのと同じ流れで、蒼樹さんも中井と出会って、好きなこと(蒼樹ワールド)からランキング(大衆)向けに自分を少し変えてきた。

 このストーリーラインは、好きなことに傾き過ぎて自分世界が誰にも理解されないコージーの元から、大衆向け思想のキャラである中井さんが蒼樹さんを連れ出すという、蒼樹ストーリーの転換点からして、顕著でした。

 だけどここで再び「バクマン。」のストーリーは、ランキング(大衆向け)から好きなことにベクトルが揺れ戻って、大衆向けは自分じゃないと気付いた蒼樹さんは本然が発揮できそうな少女漫画へと戻り、サイコーとシュージンがやろうとした読者の声を取り入れよう(大衆に媚びる)は否定され、またサイコーも、ランキング(大衆向け)にこだわる一番の原因になっていた亜豆との約束が、40までと緩和された(もう18までにアニメ化と、あせってランキングを取りにいく必要が必ずしもない)。

 そこに挿入される、TRAP打ち切り時に色々試した結果、恋愛話が面白かったという伏線。現実を作品に生かすという属性が物語当初から付与されていた、シュージンの恋愛経験。彼女さんである見吉は、序盤の「好きなことVSランキング」の象徴であった「見吉を選ぶか、岩瀬さんを選ぶか」の選択イベントで、「好きなこと」の象徴を担ったキャラだった……と、色々と仕込みがまた開花してきている印象ですね。

バクマン。 4 (ジャンプコミックス)
バクマン。 4 (ジャンプコミックス)

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