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 今週の「ツバサ」。マガジン雑誌本編のタイムリーネタバレ感想、Chapitre.232(最終回) 「始まりの世界」の感想です。
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 ホリックが「xxxHolic籠」になって続いていることや、ツバサにもまだ後日談があることなどなどから、侑子さん問題や百目鬼に託された卵の意味をはじめ、まだまだ語られていないことは多数。作中で語られている通り、真・小狼と飛王は死に行く存在(真・さくらや侑子さん)の生存を願ってしまい、それゆえに理(ことわり)を曲げたという意味では同じで、特に真・小狼が正しくて飛王が間違っているという話ではなかった。その辺りの、死に行く存在との再会を願ってもいいのか?というわりと作品でもキーとなる部分に決着がついてないのですが、その辺りはホリックが続いているので、同じく死んでしまった存在である侑子さんを待ち続けている四月一日のストーリーで、今後も描いていくのではないかと思っております。

 その辺りは置いておいたとしても、ラスト、両親を死なせてしまったという贖罪意識(思いこみだった訳ですが)や、ホリック12巻以降は自分が虚構存在であるらしいことに悩み続けていた四月一日が、侑子さんに存在してくれているだけでいいと言って貰えて、最終回では真・小狼に存在させてくれてありがとう、と言えるようになっている点。そして、ピッフル国編冒頭の会話(次元改変は許されるのか、みたいな写身小狼とファイの会話)辺りから作品として仕込まれて、真・小狼の一番の苦悩になっていた、己の願いのために理(ことわり)を曲げてしまったという点についても、曲げた理の結果の一番の象徴である四月一日から、産まれてきて良かったと言われることで、一抹の救いが与えられている点。ダブル主人公のここまでの一番の問題に、ラストシーンの四月一日が真・小狼にお礼を言うという絵で決着を付けているのが、綺麗な最終回だと思いました。

 この、産まれる元となった存在(メタには原作のようなもの)と、そこから産まれてきた存在(メタにはシミュラークル(二次創作みたいなもの)のようなもの)にまつわる苦悩や和解というのは、メタフィクション的に大川さんは計算づくでやっていると思われ、それゆえに終盤にはオリジナルCCさくらちゃんが写身サクラを助けてくれるという展開があったのだと思うのですが、この辺りは年末に仮面ライダーディケイドの完結編映画を見た後に(これも同じような原作とシミュラークルにまつわるメタフィクションを凄いレベルで扱ってたりします)、僕もなにかそういう評論めいたものを書いて発表したりしてみるかもしれません。大川さんは5年以上前からこういう結末に向かって計算していたであろうということで、やっぱり凄いっスね。東浩紀がメタリアルフィクションとかデータベース理論がどうとか言い出すよりも、大川さんの方が着想を得たのは早いくらいなんじゃないでしょうか。そして、淡々と重厚さとエンターテイメントが同居する物語に仕上げて、あまつさえ少年誌の週刊連載で(しかも長期)描ききったというのが恐ろしい。やっぱり最高に尊敬する物語師だなー。

 CLAMPのみなさんお疲れ様でした。最高にスリリングで面白い物語体験で、間違いなく学生時代から続いていた日々の彩りの一つの作品でした(^_^;。

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ツバサ 28―RESERVoir CHRoNiCLE (少年マガジンコミックス)

ツバサ原画集 2

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