ブログネタ
とある科学の超電磁砲 に参加中!
 アニメ「とある科学の超電磁砲」、第8話〜第12話のネタバレ感想です。
 バンダイチャンネルでのちょい送れWEB視聴分になっております。
 ◇

 第1クールクライマックス部分の感想です。

 ヤマ場が二つあって、一つ目は中盤の初春の「佐天さんは欠陥品じゃない」、二つ目がラストの美琴の「もう一度がんばろうよ」。

 作中の「レベル」っていう、唯一の基準で人間の評価が決まってしまう世の中なのだとしたら、低いレベルの人はどうすればいいんだという部分を扱っていた一連の話だったんですが、中々現実にも対応して考えさせられるストーリーでした。

 まずはレベル0の佐天さんの視点として、佐天さんの気持ちは大変良く分かる。レベルが世の中の一律的評価基準なのに、レベル0の私って……という飢餓感がどうしても深層にあって、この深層にある暗い感情は第一段階では初春にも美琴にも助けてあげることができなかった。佐天さん、レベルアッパーを使用してしまい一旦ダウン。

 なんだけど、ダウン間際に自分が昏倒すると知って(そのまま死んでしまう可能性だってこの時点の佐天さんからすれば考える)、ようやっと深層の暗い部分を初春に打ち明けた所で、初春が走って会いに来てくれる所がヤマ場その一で大変感動的だった。佐天さんが一旦眠っても私が何とかするから大丈夫、そもそも佐天さんはレベル0でも欠陥品じゃないですという初春の漢っぷりが半端ない。佐天さん、ようやっとレベルという一律的評価基準以外で自分を見てくれている人(初春)がいたと実感して、そのまま昏睡へ。

 と、ここまでだと、唯一の評価基準なんてあり得ないよね、私は私、あなたはあなた、佐天さんは佐天さん……とオンリー1賛歌な感じでまとまる所だったんだけど、このシリーズは後半その先が描かれておりました。

 つまり、美琴視点。逆に、レベル5の、世間的な評価基準では最高位の立場の人間からしたら、そういったレベルが低い人達にどう接したらいいのか、という視点。

 天才だったらともかく、美琴は努力でレベル5になった人なわけなんですが、だからと言って、「努力しろよ、バカ」と言い放ってそれで終わりでいいかというと、そんな単純なものではない。本当、努力しろよ! って上から目線で美琴が言える人間だったら、どんなにか美琴は楽だったか。

 途中にあったハードルの例えのように、美琴自身は目の前にハードルがあれば飛び越える人だけど、世の中にはハードルの前で立ち止まってしまう人もいるんだ、私はそういう人達の気持ちに気づかなかった……って美琴は自罰するのね。だから、最終戦の敵である、レベル低い人達のルサンチマンの集合体という敵キャラに、中々美琴は本気で戦えない。

 なんだけど、最終的な結論としては、美琴、最強能力の超電磁砲(レールガン)で、レベルが低い人達のルサンチマンを撃ち抜くの図。

 ここだけ見てると最高レベルの人間が最強能力でレベル低い人達の逆切れに鉄槌を下しただけみたいなんだけど、最後の敵の中に佐天さんの思念も混じってるのね。

 で、それ(佐天さんの声)を聞いていた美琴が、結局超電磁砲で撃ち抜く決断を下す所がまた上の初春のシーンと同じくらい感動的だった。レベルなんて関係ない、あなたはあなただと言った初春とは逆を行くが如く、これがレベル5だと全力で力の差を見せつけることになるんだけど、一番奥にあった、佐天さん個人は友だちだからという感情は同じ。中盤では「私も最初はレベル1だった」とか佐天さんに言っちゃってた美琴なんだけど、そういう気休め的慰めの方が友だちに対しては失礼。ごめんなさい、私はハードルを越えていける側の人間だし、レベル5だし、これから最強能力の超電磁砲でレベルが低い人達のルサンチマンを蹴散らすけれど、それでもレベル0の佐天涙子は私の友だちなんです、という心理。もう、美琴が超電磁砲を使うと決断した所で主題歌が流れ出したあたりは鳥肌ものだった。レベル低い人達のルサンチマン攻撃、本気になった美琴にはまったく通用しないのね。で、その上で容赦なく超電磁砲を使用して撃ち抜くというラスト。

 その時佐天さん含むレベル低い人達に美琴がかけた言葉が、

 もう一度、がんばろうよ。

 これで、ようやっと佐天さんは救われている。レベルなんて関係ないと、一律的な評価基準を無しとして佐天さんを見てくれている初春の存在だけでは救いきれなかった。ここで、美琴が自分と同じ評価基準(レベル)に立った上でも、もう一度がんばってみようと言ってくれてることでもう半面のピースが埋まって佐天さんは救われている。レベルは関係ないけど、関係ある。あなたはレベルなんか関係無しにあなた自身であると同時に、私と同じレベルという評価基準に立って比較され、その上でもう一度がんばれるあなたでもある。だって佐天涙子個人は友だちなんだから。

とある科学の超電磁砲 第1巻 [Blu-ray]
とある科学の超電磁砲 第1巻 初回限定版 [Blu-ray]

→前回:第7話「能力とちから」の感想へ
→次回:第24話(最終回)の感想へ
アニメ「とある科学の超電磁砲」感想の目次へ