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 アニメ『けいおん!!』主題歌「GO!GO!MANIAC」の感想です。
 ◇◇◇

 大人たちは言うけど
 好きなことばっかしちゃ ダメんなるって言うけど
 そうかな!? どうかな!?
 ねぇ 好きなことに夢中んなってる瞬間ってさ
 生きてるって感じだし……幸せだし……だからいいや。
 つーかダメんなるわけない。




「けいおん!」が史上初アニメキャラ首位、聖子以来26年ぶり1,2位独占も記録/ORICON STYLE



 という感じですが、オリコンの性質がメディア環境の激変と共に一昔前とは完全に変わってしまっているので、これは例えば僕ら世代(現在20代後半くらい)が若い頃にミスチルやドリカムがオリコン1位を取った、というのとは全然意味合いが違います。

 具体的にはオリコンで1位になったからと言っても一種の「公共性」を獲得した訳ではない。例えば、当時のドリカムやミスチルの歌のように、「誰もが知ってる歌」となって長い時間一般大衆の多くに共有される歌に「GO!GO!MANIAC」がなった、ということでは全然ないです。

 あくまで、けいおん!ファン、アニメファン、などなど、そういう思想家の東浩紀氏あたりがよく使ってる言葉で言えば「島宇宙」の中の出来事として、爆発してるという状況。

 ただそれでも、一昔前までは確実に公共性の一旦を担っていたオリコンチャートが、現在J-POPとかよりも「けいおん!」に押されているのは事実で、これはメディア環境が激変して、従来の公共性にマニアックが勝ちうる時代になった象徴のような出来事にも思えます。

 今まで公共性を担ってきたTVや新聞、商業雑誌というメディアが相対的に衰退して、マニアと相性がいいWEBメディアに取って代わられてきている時代において、上記で引用した歌詞のように、好きなことやってるだけのマニアでいいじゃない! とマニアに訴えかけてくれてるのが「けいおん!」なので、やはりマニアにはキュンとくる作品であり、主題歌だと思うのです。もともとマニアの「趣味にはお金を厭わない」という属性と相成って、このCDが売れない時代にCDも売れます。

 別に本当の武道館ライヴを目指して競争を勝ち抜かなくても、好きなことやってる日常の軽音楽部の時間は輝いている、「でもここが、今いるこの講堂が私達の武道館です(「けいおん!」最終回より)」という「けいおん!」の作品の主題と、別に競争を勝ち抜いて公共性を獲得しなくても、マニアに受けて好きな者同士で盛り上がれればいいじゃない、そして実際盛り上がってるじゃない、という現実の「けいおん!!」主題歌CD回りの現象は時代性としてリンクしている気がします。

 まさに、「GO!GO!MANIAC」、マニアでいいじゃん、好きなことやればいいじゃん! というメッセージなんですが、恐ろしいことにWEBが変えたメディア環境の激変は、仕事も趣味もそれで何とかなっちゃう時代だったりします。

 これまでは市場のパイが限られていたので、好きなことをやっているだけじゃ、市場のパイを一定数取れない、やっていけない、という状況があった訳ですが、WEBがメディア環境・ビジネス環境を変えたのは何と言っても「商圏が無限になった」ということです。無限とまではいかないけれど、地球全部になりました。そうなると、好きなことばっかりやっていても、地球上のどこかには、相性がいい誰かがいて、ビジネスとして成り立っちゃったりします。「軽音楽」島宇宙での活動だったとしても、好き勝手、自分の魂の方向性に従って曲を作って歌っても、それは日本国内で公共性を勝ち取ることはないかもしれないけれど、YouTubeで発信すれば、地球の裏側の誰かがピクリと来てくれるかもしれない。だったら、iTunes StoreやAmazonで販売して買ってもらえばいい。これが今の時代様々なジャンルで顕現し始めているビジネス環境です。

 僕自身は公共性が少なくなっていって、いわば地球上総「GO!GO!MANIAC」状態になった場合社会って成り立つのかなとまだ考え中の部分があり、手放しでみんなマニアになろうぜ! とも言えない感じなんですが(例えば韓流マニアと深夜アニメマニアの間では意志の疎通ができないというのは大変。なんらかの架け橋となる公共性はみんなで共有していた方がいい気がする)、時代の流れとしてそっち(マニアック側)の波が来ているのは事実。WEBでもTVでも新聞でも、今日もマニアな私、マイノリティな私を認めて下さいという叫びと、いやいや公共性を尊重して下さいという叫びがブツかって喧噪が巻き起こっている感じですが、世の中どうなっていくのだろう、と、そんなことを思う「けいおん!!」主題歌でした。

p.s.最後に誤解のないように付け加えておくと、「けいおん!」はマニアックでいい、好きなことやってる日常で輝いている、ということを描きながらも、背後に「そうやっていられる時間は終わりが来るかもしれない」というのを丁寧に描写してる作品だったりします。アニメ二期の見所は、その「やがてくる終わり」に主人公達がどう対応していくのか? という所だったりします。こちらもたいへん時代性がある主題だと思うので、まあ、やっぱりこれは作品も主題歌もヒットするよなという感じです。

TVアニメ「けいおん!!」エンディングテーマ Listen!!(初回限定盤)
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TVアニメ「けいおん!!」オープニングテーマ GO!GO! MANIAC(初回限定盤)
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