どうも、相羽です。

 今日はもうすぐ(5月28日)iPadが発売するのに合わせて、僕が最近高い関心を持っている「個人でiPad用電子書籍を販売する」ということに関して現時点で分かっていることをメモがてらに。

 僕もやろうと考えていますが、個人で自分のオリジナル同人誌のiPad版を販売してみようかと思っている方にはある程度役に立つ内容かと思います。
 ◇◇◇

 まず現時点で大きく二つ問題がありまして、それは、

1.日本語版iPadには、電子書籍リーダーの「iBooks」が最初はつかないっぽい

2.アップルオフィシャルのi-Phone&iPad用アプリケーション販売サイトであるApp Storeに個人で電子書籍を登録するのは、現時点では結構面倒

 この二つです。

 「1」は、あのiPadが発表された時のプロモーションにあった、「めくり」などにもかなり対応している電子書籍リーダーの「iBooks」で自分の漫画同人誌のiPad版を読んで貰えたら……みたいなことをみんな考えた訳ですが、どうも、最初はこのiBooksが日本語版iPadには付いていないみたいです。

 日本語版のiPadのホームページ(こちら)に「iBooks」の記述がないですし、また。「地域によっては一部の機能、アプリケーションをご利用いただけない場合があります」ともあるので、どうも本当に付かないっぽいです。

 これは電子書籍のコンテンツが揃う前にアメリカ版にだけ先んじて(ある種あわてて?)「iBooks」を登載したということなのか、それとも利権関係なんかで日本語版には「iBooks」を登載できないということなのか、色々考えられますし、推測も飛び交っていますが、真実の所はうまくは分かりませんでした。

 ただ、重要なのは背景がどうこうということではなく、「iPadで個人で電子書籍を販売したいなら最初はiBooksの力は利用できないっぽい」という事実を踏まえた上で、対策を考えることかと思います。

 で、さっそく現時点で有効と思われる代案なんですが、5月10日付けでiTunes AppStoreにリリースされた、日本の書籍に最適化されたiPad用書籍ビューワアプリ、i文庫HDというのがあります(公式サイト)。

 TOPにあるYouTubeの動画を見る限り、イイ感じですよね。

 iPadを手にすれば誰しも訪れることになるショップ、AppStoreで600円のアプリです(もう売ってます)。リリースしたタイミングの良さといい、(まだ実機で感触を確かめてないですが、HPで見る限りは)使い勝手の良さといい、「iBooks」が登載されるまでは、日本での電子書籍リーダーはこれ辺りを使う人が多くなるのかな、という気がしています。僕もiPadが手に入ったらさっそく購入して使ってみる予定です。

 で、この電子書籍リーダーの話が、

2.アップルオフィシャルのi-Phone&iPad用アプリケーション販売サイトであるApp Storeに個人で電子書籍を登録するのは、現時点では結構面倒

 という二つ目の問題点に繋がってくるのですが、電子書籍の形式、「iBooks」で読める、「EPUB」という共通規格は、現時点では個人の同人屋さん辺りが作るのには、ややハードルが高いです。

 そのうちPDFとかから一発でEPUBに変換できるツールなんかも出回ってくるかもしれませんが、現在はWEB屋さん的な人はともかく、Wordやらフォトショやらで個人で作品を作ってる人には若干敷居が高いです。

 なんですが、先ほど紹介した「i文庫HD」だと、PDF、jpegのファイルでも、「フォルダ」という機能であんな風に読めちゃうみたいです。

 これ、むしろ現時点では個人で電子書籍作りたい人には、「i文庫HD」がある程度広まってくれた方がありがたいんじゃないかと思えるほどです。「iBooks」に対応するために個人でEPUB作るのは大変でも、PDFやjpegならかなりの人が作れます。それをzipで全ページ一括販売して、買った人が「i文庫HD」に読み込んで読む、みたいな?

 そして、この話がアップルオフィシャルのi-Phone&iPad用アプリケーション販売サイトであるApp Storeに個人で電子書籍を登録するのは、現時点では結構面倒である点の解決策にも繋がっていくような気がします。

 僕らとしましては、App Storeで直に販売できれば万々歳なんですが、現時点ではデベロッパー登録(もちろん有料)しないといけないですし、アップルの審査も結構厳しいようです。そもそも、暴力表現や性表現全般が基本ダメという方針みたいなので、現時点では日本の漫画表現とApp Storeは相性が悪いと言えそうです。これは、Appleとしてもダメなコンテンツや問題があるコンテンツが溢れ過ぎるとブランドに関わってきますので、ある意味厳しくするのは当然です。

 では、個人でiPad版漫画を販売したいような人は現時点ではどこで販売するのか? ということなんですが、根本的には、上で書いたような「i文庫HD」の説明をした上で、従来の同人誌の自家通販的に、銀行振り込みで対応して、PDFやjpegをまとめたzipをコンテンツとして送る……という原始的な方法が考えられます。

 なのですが、個人的にはとらのあなさんとかメロンブックスさんとか、既にある同人誌流通の大手様が、iPad用の同人誌販売に関しても動いてくるような気がしています。iPadでとらのあなさんのサイトを閲覧して、そのまま気になった電子同人誌をDL購入。「i文庫HD」で読む、的な。むしろ規制、というか審判が厳しいアップルのApp Storeよりも、個人やサークルで作った電子書籍に関しては、そういう同人誌流通が取り組む(と予想している)電子書籍版同人誌販売経由で、一般の人は売ったり買ったりが日本では主流になる……というルートもありそうな気がしています。とらのあなさんも既に同人誌のDL販売には取り組んでいる訳ですが、リーダーが「i文庫HD」でいいやということになれば、現在のzip形式の販売ですぐにでも対応できちゃう訳だと思うので。

●「i文庫HD」で読むのを前提で作る電子書籍の形式

 「i文庫HD」へサンプル表示用のデータも提供しておられる、野間美由紀先生のブログのこちらの記事(「iPadに漫画を表示〜i文庫HD」)などが詳しいです。

 本格的にiPad対応で作るなら、iPadの素のサイズ、768 x1024(ピクセル)のjpegで作って、販売ページやコンテンツの取説にも「i文庫HD」説明書をつける、みたいな感じかなぁ、当面は。

 「i文庫HD」で読める形式の電子書籍の作り方は、iPad本体を無事手に入れたら僕も色々試してみますので、情報をシェアしていきたいと思います。

 とりあえずはiPad発売日(5月28日)近辺に、「i文庫HD」で読める形式の実験的な電子書籍(おそらくjpegをzipにまとめたもの)をこのブログでもフリーで配布させて頂こうと思っていますので、iPad手に入れる予定だという方は、その頃になったらまたこのブログを訪れて頂けたらと思います。

Amaozon.co.jp上にWeb文芸誌「マトグロッソ」-ITmedia News-

 Amazonも本気です。

 従来の出版社の対応が遅れているうちに、どれが定番になるかはともかく「i文庫HD」みたいなリーダーが普及。作家さん達も従来の出版社を通さずAmazonやアップルと直接提携、サブカルチャー界隈の個人orサークルクリエイターも、とらのあなやメロンブックスが先に動いて(ほぼ)ダイレクトアクセスの電子書籍販売が大きいうねりに……の辺りで、色んな意味で時代が変わるのかな、と思っております。

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