今週の「魔法先生ネギま!」タイムリーマガジン掲載分、296時間目ネタバレ感想です。
 ◇

 「――幸せになった弱なるなんてウソや 幸せなんやったらもっともっと強くならな 今幸せやなかったり 何かの理由で大変やったりする人たちのためにも」(近衛木乃香)/252時間目

 この台詞に至るプロセスが完全になかったことになってしまっているのが、「完全なる世界(コズモエンテレケイア)」が乗り越えるべき対象として描かれてる所以かと思いました。特に後半の「何かの理由で大変やったりする人たちのためにも」の辺りが、この世界にはない。確かに幸せなんだけど、僕が過去の悲劇組と呼んでいたネギま!作中のキーパーソン、エヴァンジェリン、刹那、明日菜ら(あと超もか)の、過去の悲劇部分を見ないままで表面的に楽しい幸せな世界。確かにこの世界でもエヴァや刹那と仲良くなれるかもしれないけれど、それは30巻越えで描かれてきた物語の上での関係とは、全然違う。

 しかし、これ、ちょっと劇外に出てメタに批評っぽい視点で見ると、

 「完全なる世界(コズモエンテレケイア)」=「ラブひな」のひなた荘、永遠に回り続ける山手線

 だよな。

 ハーレムとか、深刻な過去の悲劇までいかないイベントとか、確かにそこにずっといれば幸せで楽しいんだけど、いつかはそこから出ないといけない。おそらくそういう意識で始まったのが「ネギま!」なのは、最近はネットのネギま!関係のテキストも充実しているので、コアに読んでる読者は分かっている(少なくとも『ラブひな』リフレインのハーレム漫画ではないと思って読んでいる人が多い)。

 大袈裟に言えば、『ネギま!』の最後の敵は前作『ラブひな』(的世界)ってことか。そこから抜けた先が、『ラブひな』及びその後も大量生産されたハーレム設定の物語の「先」という気がする。「完全なる世界(コズモエンテレケイア)」を志向するフェイトと友だちになりたいとネギは言ってる辺りからも、どうハイブリットしてその先の物語の結末を描くのか楽しみです。いよいよ最終章っぽいなー。

魔法先生ネギま!  限定版(31)
魔法先生ネギま! 限定版(31)

前回の感想へ/次回の感想へ
クーネギ推奨!ネギと結婚するのは古菲説・まとめへ
「魔法先生ネギま!」マガジン感想のインデックスへ
『魔法先生ネギま!』/コミックス感想のインデックスへ