今週のジャンプ掲載分の「ONE PIECE(ワンピース)」第613話「硬殻塔の人形姫」の感想です。
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 最近面白いと思ってるのが、頂上戦争の時はおもいっきり反体制側で戦ったルフィが、今回のエピソードは体制側で戦う感じになりそうな流れで話が進んでいること。

 国とか政府とか、そういうのと戦うぜノリなら、むしろ新魚人海賊団とかバンダー・デッケン九世の方が、頂上戦争の時の海賊達サイドに近い。だけど、今回はルフィ達は国側に肩入れしそうな雰囲気。

 いわゆる相対主義とは違うので(ルフィには一貫した軸、方向性みたいなものがある)、この辺りは好感を感じます。体制側だろうが、反体制側だろうが、そういうカテゴリに関係なく、自分の信念に従って守るべきものは守り、戦うものとは戦う、という生き方。この前の過去編で、エースとルフィが共有した「悔い(杭)のない生き方」という、ルフィの一つの生き方の指針みたいなのが示されたと思うんですが、今回のエピソードは一見色んな立場の人が混ざってる分、かえってルフィの軸があぶり出される感じになっているなと思っているのでした。

 で、そうなるとしらぼし姫は、思いっきり「悔い(杭)」がある状態のキャラクターです。塔に幽閉されて過ごしているという物理的な面だけじゃなく、良い人と悪い人があらかじめ決まってるような考え方を現時点でしている辺りとか、精神的にも、何か杭にすごく捕らわれている感じ。

 そんな感じで「しらぼし姫を自由に」が今回のエピソードの一つのポイントだと思うんですが、地味に序盤のナミ編のリフレイン構造も取ってる気がしています。

 閉じこめるための塔、閉じこめる魚人、などなどと、色々と重なる要素が。キャラデザもナミに似てる気がするし、最近は新世界編の幕開けを第1話とサブタイでシンクロさせたり、単行本の表紙も1巻と61巻で対応させたりと、リフレイン演出が目立ちます。

 なんで、ナミを自由にするのはかなり大変だったけど、今のルフィ達なら? みたいな見方もできるエピソードという印象。2年間の修行期間で強力にパワーアップしたはずだし、挫折パートは頂上戦争後で十分堪能したので、現在の強さでスカっと勝利してくれるエピソードが読みたいかなー。

ONE PIECE 1 (ジャンプ・コミックス)
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ONE PIECE 61 (ジャンプコミックス)
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