ほとんど前情報無しで視聴したのですが何やら作り手のドロドロしたものが凝縮されている感じで好みでした。最近流行った深夜アニメは基本的に市場のニーズを汲み取ってマーケットイン方式で作られているので(そして、ドラえもんみたいなほぼ公共アニメと違って、一般的な深夜アニメファンが思っているほど、その市場は大きくない)、こういう市場がどうこうを置いておいて作り手の痛切な何がが醸し出されている作品はカッコいいです。
今の深夜アニメでオープニングがキャラクターが一切でてこないで、何やらコンセプチュアルな映像&楽曲のみというのは凄いな。映像も言語化しにくい何かが伝わってきてカッコいいんですが、これで行こうと言い出した人や実際に慣行した人がむしろカッコいい勢いです。オープニングは萌えキャラクター絵&メカの連続カットインで、エンディングはダンスとか、俺はあえてやらん! という勢いです。
フラクタルシステムという大変幸せな社会システムが構築されていて、何となくみんなローコストで良い感じに自己実現できてしまうような世界のお話。
ドッペルという第二の自分を上手く使って、子育てとか商売とか、人間と人間がガチで関わらないといけないリスキーなことは全部そっちにまかせて、自分本体は悠々自適の自己実現モードな社会。そんな状況に特に誰も疑問を抱くでもなし。
なんだけど、何を思ってかドッペルを使わないで生きていた少年のもとに、はじめて生身の人間(女の子)が降ってきたからさあ大変、というような導入。
ドッペルを使った低リスクだけど何やら薄い感じがするコミュニケーションと、クレインとフリュネの生身の身体同士の濃い分ある意味リスクが高いコミュニケーションが対比的に描かれているのが印象的でした。そりゃ、生身の人間が怪我してたら色々大変、リカバリーボタンでポンと回復するでもなし、湿布貼るのも一苦労だよ、みたいなお話の始まり方。
引きでフリュネが残したデータから、アニメ誌などで事前広報されてた二次元美少女のネッサが出て来て、何やら面白い感じに。ネッサとの関係はドッペルとの関係と同じ感じになっていくのか、それとも何か違うものになっていくのか。中々興味を引かれる導入話だったのでした。

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ハリネズミ
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