涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)  今回は涼宮ハルヒシリーズ9冊目となる『涼宮ハルヒの分裂』の感想です。
 これまで全巻の感想を書いているので、今月『驚愕』がリリースされる前に書いておきます。
 基本的にネタバレで書いていますので、アニメ版のみで楽しんでいる方などはご注意下さい。
 ◇

 第三章からパートがアルファとベータに分かれるのがタイトルの『分裂』なのだと思うのですが、無難にアルファとベータはそれぞれ異世界で、初期から伏線を張っていた異世界人の新メンバーに関するエピソードがこの『分裂』〜『驚愕』なのだと予想しております。

 作中で1年生の新入部員に関する話がずっとほのめかされていますし、アルファパートの最初の電話の少女が何者なのか? というのがお話の牽引力。順当に行けば既キャラの誰かだと思うんですが、さてはて。

 そして、『消失』何かでも扱われている主題ですが、こういう異世界ネタが、逆にオリジナリティについて掘り下げる形になっているのもハルヒシリーズだと思いました。今回もハルヒがみくるちゃんを選んだのはみくるちゃんが唯一無二だったからという部分がありますが、異世界とか何とか色々出て来ても、基本的に一回性のオリジナルを尊いモノと捉えたい、みたいなハルヒシリーズに流れているスピリットかと思います。

 あとは佐々木さんが何か結構儚いように感じるんですが、彼女にはハッピーエンドを迎えて欲しいです。超常を志向するハルヒに、現実を見ている佐々木さんと、今回のSOS団VSの構図でもハルヒに対照している佐々木さんなんですが、根はハルヒと同じなんじゃないかという気がします。佐々木さんが語る恋愛感情に関する考察は、これはハルヒが一巻の『憂鬱』で語った内容と類似していることからも(それは表面的なポーズだった)、何となく、対照ではあるけど、どこか同じであるという落としどころが見えている気がします。

 佐々木さんは種の繁栄は恋愛感情ではなく本能だと言う訳ですが、このことを語ってる時の佐々木さんが男子と話す時の外装を演じてる佐々木さんなのに注目しています。女子モードの素の佐々木さんをキョンがかいま見る時が、このお話のクライマックスという気がする。キョンとのつき合いがある期間など、色々とハルヒと対応させている以上、佐々木さんのキョンへの本当の気持ちはLOVEなんじゃないかなどと妄想しつつ(つまり『憂鬱』との対応オチ)、『驚愕』を待っております。

 『驚愕』が世界同時発売の今月末はハルヒ休暇を取る予定です(えー)。これだけじっくり自分が好きなシリーズの上下巻の新刊を堪能できる経験もそんなに無いと思うので、大変楽しみにしているのでした。

涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 ブルーレイ コンプリート BOX (初回限定生産) [Blu-ray]
涼宮ハルヒの憂鬱 ブルーレイ コンプリート BOX (初回限定生産) [Blu-ray]

→前巻:『涼宮ハルヒの憤慨』の感想へ
→次巻:『涼宮ハルヒの驚愕』の感想へ
涼宮ハルヒシリーズ原作小説の感想インデックスへ
涼宮ハルヒの憂鬱アニメ版(映画『消失』含む)の感想インデックスへ