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乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)  ここ1、2年の漫画シーンで話題だった(口コミだったり、ランキングとかだったり)森薫さんの『乙嫁語り』、とりあえず1巻を買ってみたので感想です。
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 まず絵が何と言っても凄くて、それだけで美術品的な方向で画集とか本棚に置いておく感覚で持っておきたくなる一冊。強引に左端にエンタメ極点、右端に芸術極点を取って、絵というのがどっちよりか語ってみるなら、だいぶ右側に感じました。ペン画の極み。

 狩りをしてる風景だったり、自然動物のありのままの生を描いている部分だったり、宴の部分だったりなシーンが結構多くかつ長くて、冷静に考えると漫画ってエンタメな大衆娯楽じゃないの !? というバイアスのもとだとあるまじきのんびりペースなんですが、それでも価値を感じられるのが凄い。「起承転結」の「承」を飛ばすくらいのペースでジェットコースター展開させないと今の読者は飽きちゃって付いてきませんよ的な考えで描かれている週刊メジャー誌掲載作品とはだいぶ異なる思想の作品。それでも突き抜けるとちゃんとヒットするというのに考えさせられます。Amazonランキングとか、ジャンプマガジンサンデーコミックスがずらっと並ぶ中で、もうすぐ発売の3巻が上位に予約で食い込んでいるのを見るとカッコいいと思います。

 「自然動物の生」的なパートは『カムイ伝』とか思い出したかな。あれの場合作品で訴えてる思想信条的にああいう動物パートも必要なパートな訳ですが、作者さんも何か考えがあるのだろうか。そういうの抜きにしても、現実の資本主義経済の中で、こういう原初的交換経済が主軸の世界観(と言うより歴史的にそういう時代・地域は普通にあった訳ですが)で描いている作品がむしろヒットしているというのは深い。ヒロインを始め女性が一種の共同体同士の交換品として扱われている世界(時代)なんですが、むしろ現代のハーレム作品よりも純愛という感じも醸し出されています。森薫さんは『エマ』の方がまだ未読なんで、そっちも読んでみようかな。後書きから、本当イギリスとかメイドとか好きで『エマ』描いて、コーカサス地域とか馬とか羊とか絨毯とか好きだから本作も描いてるというのは伝わってくるので、作者本人の情熱に触れてみたくなる感じなのでした。羊の群れの描き込みには、異様な情熱を感じるね! これは、海洋性哺乳類を描く時の名島先生(『波打際のむろみさん』の作者さん)に通じる何かだね!

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)
乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

乙嫁語り(3) (ビームコミックス)