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背伸びして情熱 (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)  4コマ連作短編集『背伸びして情熱』の感想です。
 『マリア様がみてる』や『歴史』ジャンルで同人活動をされていた頃から個人的にピンポイントで好きだった作者さんの初商業コミックス。何の巡り合わせかタイミングが良かったのでようやく購入。
 ◇◇◇

 凄い良かったです。表題作「背伸びして情熱」は、人が恋に落ちる瞬間を4コマ連作という形式を最大に生かして切り取っている所が素敵です。

 人が人を好きになるのに、ヒロインにトラウマがあって、主人公がそれを救済して〜みたいな大袈裟な物語は必ずしも必要じゃない。非常に感覚的な瞬間を切り取っています。

 ヒロインの方が、これは恋なのか、恋じゃないのか……と悩むキュンキュンなお話なんですが、ある瞬間にそういった揺れが恋に変わるのが、カチって感じで描かれていると思うのでした。

 個人的には「お酒さん」もエラくツボにハマりました。すごい一般的な方向で瑞々しく素敵なお話や絵を描いてる人が、ある時チラっと見せるカオスというのは好きです。内輪向けの感想を言うなら、カレンダーサイト的な絵を描いているxaviさんがいきなりくまっくまーずを描き出した的な面白さです。この「どうしてこうなった」感、言語化するのが難しいな……。

 そして、本命の短編4コマ連作「赤くない糸」。

 これは、『マリア様がみてる』の祐巳祐麒が好きだった方には声を大にしてお勧めしたいです。もともと祐巳祐麒で活動されてた作者さんなので、エッセンスを取り入れているのだとは思うのですが、もっと、こう、キュンキュン的な破壊力はマリみて本編よりも上かもしれない、姉弟恋愛を扱った珠玉の連作短編。

 お互い完全に恋心だと自覚がある姉弟恋愛だけど、手をつなぐまでの関係。このシチェーションでゴロゴロと悶え転がれる人は、存分に悶え転がるがいいと思います。ちなみに僕は悶え転がりました。これはちょっと一生ものの珠玉の4コマ連作短編。

 という訳で堪能しました。密かにあり方に憧れていた作者さん。商業になってもそのエッセンスは変わってない感じがして、たいへん嬉しかったのでした。

背伸びして情熱 (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)
背伸びして情熱 (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)