ブログネタ
魔法科高校の劣等生 に参加中!
 WEBノベルで途中まで読んでいた『魔法科高校の劣等生』の電撃文庫版。WEBで途中まで読んでる所で商業文庫化が決まったので、これは文庫で追いかけようと思ってそっちにチェンジしたのでした。
 個人的に、「マリみて」と「ハルヒ」以来、発売日に必ず買おうと決めたライトノベル(いや、油断してたら市場枯渇して発売日に買えなかったんだけど! 二版になってしまった(泣))。筆力(筆風も)が従来のライトノベルから領域縦断的にはみ出している威力がある作品です。
 ◇◇◇

 1巻はほとんどWEBで読んでた箇所だったんですが、色々加筆修正もありつつ、何よりイラストが付いているので非常に楽しい読書体験でした。いい案配で深雪さんのサービスシーン的イラストが入ってるとか、エンタメ精神が分かっています。

 WEB書評的な文脈で既に語り尽くされてる感もあるのですが、魅力としてやはりSF設定描写と妹の深雪さんをあげたくなる作品です。

 SFというか古典ファンタジーの話ですが、例えばトールキンの『指輪物語』は、最初の方の巻で延々と世界観設定が描かれます。ですが、少し前に映画化された時に『指輪物語』原作にトライした人達の多くが挫折した所もそこで、そういう延々とした設定、世界観描写とか、現代人は退屈に感じてしまう、という部分が少なからずあって、現代のライトノベルでは、わりとこの辺りの設定とか世界観とかに文量を使うのはタブー気味。

 何ですが、『魔法科高校の劣等生』は、延々とSF設定とか語るんですよ! しかも『指輪物語』とかよりも読者にフレンドリーで分かりやすい語り口で語ってくれるし、設定そのものも面白いし(また、ちゃんと作品の主題に結びついていくような設定群だからあなどれない)、何より作者さんの「俺が考えた設定聞いてよ!」的目のキラキラ感が伝わってくるので、思わずそこだけでも読みふけってしまうのです。

 「魔法をSF的に解体してる」というわりとそこまではよくある部分なんですが、こと細かい所までよく考えているな、と。魔法における最小構成粒子がどうこうとか、それこそ、トールキンがうっかり作中言語の細かい設定まで自分で考えちゃったような勢いで、作者さんの頭の中には細かに作中物理が出来上がっているんだろうなと。昔『ファウスト』っていう雑誌の論評に、作品の威力は小手先の文章力とか記号操作よりも、「作者の頭の中にある四次元」で決まると(その時は『ひぐらしのなく頃に』を例にしつつ)いうのがありましたが、『魔法科高校の劣等生』は紛れもなく作者さんの頭の中に、圧倒的な密度で作品世界の「四次元」があるのが感じられる作品なのです。

 後者の妹の深雪さんについては、体験して下さいとか言えない部分があります。実兄の主人公にガチという妹さんなんですが、この十数年現れては消えていった妹作品群の屍を越えて、究極の妹、ここに現る、みたいなノリです。カッコ悪いキャッチフレーズをつけてみるなら、「これがテン年代の妹だ!」みたいな感じ(笑)。「優等生の妹に劣等生の兄」みたいな表面的な設定エンタメの部分を越えて、深雪さんは凄いんですよ。容易に萌えとか言いづらい。深雪さん萌え〜というよりは、いや、深雪さんは達也さんを愛してるからな! と真顔で答えなきゃならない勢いです。記号化された兄妹恋愛というよりは、己と相手の存在をかけた「愛」です。

 個人的に久々にずらっと本棚に並べたい作品。2巻発売は8月10日。今まで封印していたんですが、今後僕の話に『魔法科』の話題は増えるかもしれないので、その折はよろしくです(^_^;