前回だいぶ生命なんて無情にも補食されるものなんだよ、という話を食べ物や生存権が誰に握られているか、といった話で描いていたのに対して、今回は生存を脅かされたとして、助けてくれる人もいる、という話だったと思うのでした。ゴキブリを殺虫剤で殺しまくってたペンギンですが、逆襲に合い、今回は逆に生存を脅かされる、だけど、他のペンギンが助けてくれた。どうでもいいようで、大事なそういう話。
リアルでは、やはりペンギン帽子の人が陽毬の生存権を握っているのが強調されつつ、生存権を脅かすものから、陽毬を守ってやる人間としての冠葉が描かれた回でした。幼少時の嵐、家を奪う大人社会、ペンギン帽子消失、これらは同質に陽毬の生存権を奪いにくるものですが、冠葉は父の意志を胸に(無力だった時代の冠葉を、父は守った)、それらから陽毬を守る。生存権を奪いに来る者達からの、生存戦略。
あまりにラディカルに、しょせん弱肉強食なんだよ、という前提がある中で、例えばしかし人間には弱者を守ろうとしてきた歴史もある、というような希望的な回に感じられました。昔の原始社会でも、弱い人間を介護していた形跡がある、なんていう考古学の話を思い出しましたよ。
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