本日の金曜ロードショーでがっつり視聴した『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の感想です。
 公開時に劇場で視聴した時書いたの以来、二回目の感想でしょうか。
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 改めて気付いたのは、前半の海と海洋生物のセンターに行く箇所や、そこで食事して、色々「食」に関する話をするシーンにも意味があったんだな、という辺り。

 海は母なる海的な方向で生命の起源だし、「食」も命の基本。旧TVシリーズからそういう要素はあった訳だけど、ユイさん=綾波=母親の影、がずっと物語の中核に付いて回るのも、自分の生命の起源に関する要素がその辺りにあるからなのだと思いました。アスカは母親に否定されたし(旧劇場版でそこは一応昇華するけど)、シンジは母親は自分を守って死んでしまった。そこから生まれてる欠落感やら孤独感やらで、みんな何だか大変なことに。

 全体的にみんな自己の重要感が低いので、VSアスカが取り込まれた三号機戦で、シンジの「自分の生命より他人の生命」、自分より他人、という生存競争に消極的な考え方が出てくるんだけど、それを口にした所で、ダミーシステム(代わり)に切り替えられてしまって、無情にも自分が生き残るために他人を食するという展開に。この辺り、世の理(ことわり)は甘くないんだよ、と突きつけられているようで苦しい辺りです。「食」が父と子を繋ぐ架け橋になるはずだったのに(綾波のお食事会プランの辺り)、何とも殺伐とした感じに。生きるって大変、的な展開。

 そこからまた自閉の檻に閉じこもっちゃうシンジ君(シェルターの閉鎖空間の比喩的な使い方が上手いと思う)なんだけど、今回の新劇場版には何故か存在する、自閉ブレイカー、真希波さんに言われてしまう。「そうやっていじけていたって、なんにも楽しいことないよ。」と。別にそう言われたからって、自己の重要感の欠落とか、お母さん分足りてない問題とか解決する訳でもないんだけど、あまりにシンプルな一つの指摘で、劇場で初めて聞いた時は身震いしたものでした。

 そこから、パっと開けた荒野の中、シンジ君が選んだ行動は、「綾波のもとに駆ける」だったのは、凄い映像と相成って、劇場で泣いてしまった部分。今回も、シンジ君と真希波の会話からは、感動曲線揺さぶられまくりで訳分からなくなってましたよ。

 最後の相変わらず「自分の代わりはいる」という綾波に対して、綾波は綾波だけだと言ってシンジさんが男を見せる辺りも、シーンが発してる波動的なものが凄い。ダミーシステムとか、アスカの代わりがいる問題とか、TV版で顕著な綾波の代わりがいる設定とか、全てをシンジ君の行動が救っている。

 また、綾波の危機は、「シンジくんのために自分が犠牲に」という、三号機暴走の時にシンジ君が取ろうとした行動がきっかけなので、その綾波を救うことで、自分自身を救ってるようにも見える。生存競争で、しょせん他人を食らわないとやっていけないじゃない、と、ゲンドウの「大人になれ」に繋がるような世界観の他に、別解があり得る、と感じさせてくれる熱いシーン。自分の生存も世界がどうこうも度外視して、「綾波は助ける」と他人のために奮迅するシンジ君の迫力に、言いしれぬ真実性を感じさせてくれる勢いがこの映画にはあると思うのでした。

 眼帯アスカが宇宙戦をしてるという新映像に、『Q』が2012年秋公開という発表もありました。ちょうど経済危機とかヤバめになってる時期な気がするけど、とりあえず経済が混乱してても『Q』は観にいくよ!

ヱヴァンゲリヲン新劇場版 式波・アスカ・ラングレー ~プラグスーツstyle.~ (1/7スケール PVC塗装済み完成品)
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.【通常版】 [Blu-ray]
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前の新劇場版感想とか