つぶらら (1) (アクションコミックス)
つぶらら (1) (アクションコミックス)

 山名沢湖さんの『つぶらら』1巻の感想です。

 2006年第1巻刊行の作品。「キャラメル☆エンジェル」というアイドルユニットに没頭する女子高生主人公を描いたお話。
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 普通の女子高生(可愛い系とか好きな感じ)、真面目な生徒、アイドルオタクの男子生徒達、と微妙にクラスタに別れていたクラスが、なんやかやとみんな「キャラメル☆エンジェル」という共通の話題を得て連帯していくまでが描かれる第1巻。連帯が消失してみんなバラバラの島宇宙に閉じこもっても、共通の娯楽(芸能人、漫画、アニメなど)の話題を媒介にもう一度「みんないっしょ」を模索できまいか、というまさにゼロ年代批評の問題意識の世界です。1巻クライマックスの、「体育祭で、雨の中みんなで「キャラメル☆エンジェル」を踊る」というシーンがやたら感動的。たかがアイドルの話題だけど、されどアイドルの話題。5年ほど早かった作品という印象。ちょうど昨日はSMAPの北京公演なんかが実現した時節なので、タイムリーに読んでいて感じ入るものがありました。

 時代的にDVD普及期辺りの感覚をリアルに描いているんですが、主人公テレビを壊しちゃって「キャラメル☆エンジェル」が見られなくなる→はじめてバイトして汗流してお金稼いでテレビ買い直す……のくだりもかなり尺を取っていて妙にじわじわくる。まだ、iPadで動画見放題とかの環境が訪れる少し前の、時間の流れがゆっくりだった時代。一つの番組を観るために、あらゆるリソースを割くという娯楽にかける執念。超消費時代には逆に得難い、頭使って、身体もつかって、がんばってがんばって、ようやく本当に見たい一つのアイドル番組を観る、という幸せを上手く切り取っています。こういう情熱は、コンテンツ自体は何やら簡単に手に入ってしまう環境になってきてるからこそ、忘れたくない。

 とてもイイ漫画だなと思った一作。妙に2011年だからこそ感じ入る時代性もあります。まだまだ、僕が知らない面白い漫画はあるなーと思ったのでした。

つぶらら (1) (アクションコミックス)
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つぶらら (2) (アクションコミックス)
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つぶらら (3) (アクションコミックス)
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つぶらら 4 (アクションコミックス)
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