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 アニメ『Fate/Zero(公式サイト)』第一話 「英霊召喚」の感想日本語verです。

 ニコニコ動画では日本国内向けではこちらで本日から第一話配信開始。

 僕がやってる英語圏向けファンブログはこちら。

 「stay/night」のゲームもやってますし、「Zero」の小説も読んでいますが、感想は原則そっちの方のコアなネタバレは無しの方針でいきます。
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 個人的な見所はOPの導入部分が冬木大橋の映像だったこと。

 凄い世界観(技術的には背景美術ということになるのだろうか)にこだわりぬいて作ってるなーとエピソード全編通して思ってたのですが、決めが第一話ラストがオープニング、冒頭は冬木大橋の映像、でこれは凄いと思いました。

 「stay/night」劇中でも何かと象徴的な場所として使われていた冬木大橋ですが、今回は異なる価値観と価値観の境界、という意味合いが大きいと思うのでした。

 ヨーロッパの橋が共同体と共同体を繋ぐブリッジなのに対して、日本の橋は橋の向こうが霞んでいる(美術論的な話ね)……みたいな話が載ってる保田与重郎の「日本の橋」という有名なテキストがあるんですが、このオープニング冒頭の冬木大橋は保田的「日本の橋」とはちょっと違う。

 一方で共同体と共同体を繋ぐヨーロッパ的ブリッジ的な意味の方はあるんだろうけど、もうちょっといって、異なる価値観(島宇宙とかクラスタとか呼び方はなんでもいいけど)が衝突し合う、接触点としての「橋」ですよ、これは。そう、『Fate/Zero』はゼロ年代批評とか、そういう文脈で言われていた言葉とか使ってイイなら、究極の「バトルロワイヤル」作品なのでした。

 7陣営が、それぞれ譲れない価値観、信念、動機で動いている。

 衛宮切嗣の「理想」とか遠坂時臣の「根源への到達」は、今話時点ではまだどれほど痛切な願いなのかよく分からないけど(具体的な内容がまだ明らかになってないので)、例えば間桐雁夜の「桜を助けたい」は、今話だけでも痛切な動機として伝わってくる。そんな譲れない願いを持った人間が、生き残った一人しか願いが叶わないというシチェーションで、他の陣営と接触するのだから、闘争にならないはずがない。「橋」はマジ戦場。

 英霊の方も、今話で明らかになってるのはアーサー王とハサンですが、これももう、この時点で地域とか時代とか思想とか、「クラスタ」が全然違っていて、譲り合える雰囲気皆無な訳じゃないですか。これも、出会ったらもう闘争、みたいな雰囲気ですよ。

 そして、だからこそ逆に、闘争以外の解答がないのか? という作品でもある。異なる価値観の接触という点から言うなら、相容れない闘争を描くと同時に、奇跡的に二つが永遠的、運命的に重なる「一生を規定するような出会い」を描くのが「Fate」でもある。その点で、術者(マスター)と英霊との出会いも、異なる時代、異なる価値観、異なる思想の「接触」の瞬間でもある。

 そんな感じで、切嗣とセイバー、ウェイバーとライダーといった、主要な術者と英霊の初接触のシーンが描かれた所で、最早超有名なキー台詞、「問おう、あなたが私のマスターか?」がセイバーさんから飛び出した所で、だーっと冬木大橋が迫ってくるオープニング映像へ。これは、完璧な第一話だと思いました。

 これを糧にしばらく生きていこう……。

Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話 (星海社文庫)
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Fate/Stay night DVD版
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