疲れがちな日々。潤い的なものを求めて触れていたものの感想など。
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 今週の「範馬刃牙」、意識のトリガーの奪い合い抗争を、勇次郎が終わらせると宣言する引きにかなり訴求されました。

 攻撃する意識の一瞬先を読む、でもその先を読んだ意識のさらにその先を読む、さらにさらに……とこれは延々に続いていってしまう。これをどう終わらせるのか、という話。

 例えば批評の世界だと、論理AVS論理Bの場合、それらの論理を外側から検証するメタ論理Aに先に到達した方が基本的に勝ってしまう。だけど、そのメタ論理Aにまた対抗論理を想定可能で、今度はメタメタ論理が生まれて……と延々と続いてしまう、というわりと論理学的に有名なトピックがあります。

 僕的にこの問題に関しては、ある時点でメタ論理を追求するのをやめて、その時点の論理で行動に移すしかないという結構決断主義的な見解を抱いているんですが、それはそれで危うい側面もある考え方なので、板垣先生には期待したい。この手の期待を爽快に斜め上の結論で何度も飛ばしてくれたのも板垣先生なので、別にそっち方面の回答でもいいので何か期待(え)。

 ちなみにこのトピックが、いわゆる安楽椅子探偵が実際に役に立ちうるのか? という話に一つの視点を提供すると思っています。つまり、安楽椅子探偵はメタ論理追求の観点から犯人の上に行くことはたぶんできるんだろうけど、そこから実際の行動に移すのにタイムラグがあるので、実際の犯行阻止とかは厳しいのではないか、というもの(ただこれも理論上の話)。メタ論理追求が目的なのか、実践知として犯行阻止が大事なのか? は、そのままロジックなのか? 感覚的な面白さなのか? みたいな「本格ミステリ論争」的論争にそれこそ「メタに」かかってきて面白いのではないかと思うのでした。

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 現実逃避(でもないのだけど)気味に『魔法少女リリカルなのはStrikerS』を見返していました。なのはさんはイイね。愛と勇気とエロスと、全てがここにある。

 「隊長格(なのはさんクラスなど)には限定(リミッター)がつく」という男の子心くすぐる設定に、結構綿密な背景があったのに気付いて驚く。これ、つまり「所属してる体制側も結構腐敗してるよね」というシャレにならない要素も組み込んである作品なので、つまり体制側が一つの独立部隊があんまり力を持つのを良く思わなくて課してる「力の限定」だったのか。諸大名に参勤交代させて反逆力を奪う徳川幕府的な設定だったのね。

 そういう諸々の世の中の世知辛さを調整して、はやてさんが自分の理想とする独立機動部隊を立ち上げる、という冒頭からして胸熱でヤバい。オープニングの集団カットも、それぞれの集団が組織(機動六課)、チーム(FW陣)、家族(八神家)、パートナー(なのはとフェイト)といったくくりで色々映ってるのも熱い。そういう共同体が全部連帯した奇跡の部隊が機動六課。はやてさんがみっちり根回しに動いてる描写とかあって、無駄にリアルで熱い。

 神回、第五話「星と雷」まで視聴。なのはシリーズの土台に流れている、例え虚構存在でもくさらずにいこう、新しい自分を探していこう。自分の本質がやっかいなものでも、きっと調整して世の中に生かす方法はあるよ。という辺りはリアルな今だからこそ味わいたい。キャロが龍召還(自身の本質と結びついているけど、制御次第で破壊に結びついてしまう力)を決行するまでの心理の流れの描写が、時間を置いて久しぶりに観てもやっぱりグっとくる。

魔法少女リリカルなのはStrikerS Vol.1 [DVD]
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 応援している小説『魔法科高校の劣等生』の第3巻が発売になったのでよろしくです(作者さんがサラリーマンしながら書いた超絶WEB小説をリファインしたもの。)。

 第2巻のお兄さんと深雪さんが見つめ合ってイチャイチャしてる所は五回くらい読んだよ。

 僕的に感じてるのは、『星界の紋章(&戦旗)』以来、作中ガジェットが実際に欲しくなるSFだということ。そう、僕的には魔法科はくくり的にれっきとしたSF小説。

 『星界』のガジェットはスマートフォンなどでほぼ実現している現在の世の中なので、きっと魔法科のガジェットも我々が使える日がくるよ!

魔法科高校の劣等生〈3〉九校戦編〈上〉 (電撃文庫)
魔法科高校の劣等生〈3〉九校戦編〈上〉 (電撃文庫)