飴色紅茶館歓談 (1) (IDコミックス 百合姫コミックス)
飴色紅茶館歓談 (1) (IDコミックス 百合姫コミックス)

 藤枝雅さん(ご本人のHP)の『飴色紅茶館歓談』第1巻。第2巻がAmazonにランクインしてたりしたのをきっかけに買ってみました。
 『百合姫』系列のコミックスだけあって百合っぽいんですが……
 ◇◇◇

 紅茶館(喫茶店のようなもの)にゆっくりと流れてる時間そのものが一番の見所といった趣でした。序盤とか、ヒロイン二人の紅茶館内での会話劇だけでほとんど進んでいくんですが、何やら、テンポ重視、イベント発生目白押しみたいな作劇に疲れがちなこともある最近の漫画事情なので、このペースが妙に心地良い感じ。

 紅茶館、客入りがある時は頑張って、お客が来ない時は「今日はまったりの日」と割り切ってうららかな午後モードになるのが良い。このくらいのペース、仕事量で経営回っていくお店はある種の理想ですよ。

 が、そんなことを思っていたら、後半収録の短編では、一度経営赤字で崩壊しかかっていて、今はかなり経営努力してる……なんて話が明らかになる。

 ええ、そこは生々しく描くの! と思いつつ、逆にこれだと思いました。

 うららかにまったりと。それは理想だけど、ちゃんとやる所では頑張る。経営努力する。その上で、うららかにまったりな時間を創出する。経営努力、向上、資本拡大万歳だけでも行き詰まり、のんびりマイペースだけでも生存戦略できない昨今。このくらいのバランス感覚が良い気がしてきた。終わらない日常でまったりしてるだけはもう出来なくなったけど、それが尊いと思うなら、ある程度頑張って、その日常は創出しよう、みたいな感じでしょうか。いや、こういう感想になる予定じゃなかったんだけど、いわゆる『日常の輝き』ネタに接続可能な作品にも思えてきました。ヒロイン二人でまったりしてるだけ(日常)で幸せではある。だけど無条件でそれも難しいので、経営努力とか、やるべき所はちゃんとやっておこう。みたいな感じ。

飴色紅茶館歓談 (1) (IDコミックス 百合姫コミックス)
飴色紅茶館歓談 (1) (IDコミックス 百合姫コミックス)

飴色紅茶館歓談 2巻 (IDコミックス 百合姫コミックス)