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 『スイートプリキュア♪』的、あるいは東浩紀的ともいうような「共通体験が消失した時代」「僕たちはバラバラになった時代」という時代的な問題意識は、でもこれもスイート文法でプラス面を見つけることもできる。

 つまり、バラバラのクラスタや島宇宙にそれぞれが閉じこもりがちだからこそ、その間を繋げるだけの共通体験が中々ないからこそ、逆に同じクラスタや島宇宙の人に出会うと、その他の差異をぶっちぎっていきなり仲良くなれる、という辺りです。
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 僕が最近ハマった人にコロンビアのコスプレイヤーさんがいるんだけど、僕はコロンビアの文化も政治もほとんど知らないけれど、たぶんもし実際に会うことがあれば、媒介語に英語が必要なくらいで、余裕で5時間くらいは漫画やアニメの話ができると思う。根本的な共通体験はほとんどないんだけど、クラスタ内の嗜好をトリガーにいきなりコミュニケーションが出来る例。これだけだとまだ想像上の話だけど、実際中欧に行った時も現地の人たちとジョジョやエヴァンゲリオンの話が交流のきっかけになった経験はあるので、実体験的にも言えます。つまり最近の様々な作品の主流のテーマであるいわゆる「相互理解」において、大きい共通体験を求める志向とマニアック化・専門化を求める志向は矛盾すると言うよりは両輪と言えるように思います。

 ただ現状の世の方向性的に放っておいても専門化は進む流れなので、どちらかと言うと共通体験の消失の側にエッジがある人たちの意識は向いている訳だけど、「過去が共通体験のキーをくれる」というスイートプリキュア♪の回答は、実は僕が少し前から言ってる「古典の意義は消えない」とかなり重なる部分があります。つまり、今後どれだけ嗜好の細分化が進もうと、歴史上のある時点まで、この古典が大きく共有されていた、という事実は消しようがない。大きい例で言えば、『聖書』がもっとも印刷された書籍、というような事実はこれから100年経っても(順位が変動することはあるかもでも)過去の事実としては変わらない。なので、その辺りをキーに今後も違う分野の人たちと意志の疎通をはかっていける可能性は大きい。僕の体感的にエヴァンゲリオンが西欧圏でも受け入れられているのは、キリスト教モチーフなどが多いので、細かい反感などが出る以上に、共通体験、共通言語として理解しやすい部分が多い、というのも大きいと思います。それゆえに、今後も過去のある時点までに大きく共有されていた古典や物語を軸に、シミュラークル的にでも作品を作っていくというのは有効なのだろうと思います。そういう点では『輪るピングドラム』も良かった(聖書モチーフ多め)、あれも輸出していったら面白そう。

 この視点をもう少し小さく国内に持っていくと、昭和回帰作品、歴史作品になっていきます。今後どう嗜好が細分化していこうとも、昭和くらいまではかなりみんなで大きい物語を共有していた、という歴史的な事実は消せない。だから、大きく母数を取ろうと思ったら、その辺りの時代を扱うのは有効。NHKの朝の連ドラが連続して昭和初期を扱ってるのも偶然ではないかと思います。同じ理由で、大河ドラマ需要も今後もある程度の有効性は保証されていくはず。少なくとも、いきなり同じ時間帯に『Facebook〜ザッカーバーグ物語』みたいなのを放映するよりは、共通体験の母数を狙っていくにあたって、国内ではリスクが少ない。国内的知名度(共有度)は、まだザッカーバーグより平清盛の方が上です。

 と、文化とか社会の話に見せかけて、内実は久々にマーケティングの話といえるものでした。昔のメルマガや教材のキーワードマーケティングの話とか持ってる方は、合わせて読んでみると最近のキーワードマーケティングで何を考えなければいけないかがピンと来たりするんではないかと思います。

figma 輪るピングドラム プリンセス・オブ・ザ・クリスタル
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