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 本日発売の『まんがタイムきらら』7月号掲載の「けいおん!」大学生編最終回の感想です。
 ネタバレで語っていますので注意です。
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 「大学生編」の焦点だった、恩那組(メインは晶)に代表される「やっぱり上昇志向も大事」という価値観と、放課後ティータイム(メインは唯)が引き続き担ってる「ずっとずっと放課後」という価値観と、どっちなの? というシーソーゲームの結末は、うまく相対化されて「未定」で終劇を迎えた印象でした。

 競争(対バンド)自体は恩那組が勝利し、晶も失恋しても、今度は「また髪を伸ばす」と上昇志向を捨てない。一方で唯たちは青春の輝きの象徴だった制服を纏って大学の学園祭の舞台に上がり、特に唯は「おばあちゃんになってもこのメンバーとこの衣装でバンド出来たらなぁと思っています!!」と語り、高校生編の学園祭のMC「放課後ティータイムはずっとずっと放課後です」が場所を変えても継承されているのを語ってみせる。高校生編終盤の、「絆は切れない。共同体は広げていける。"輝いた、今、ここ"はずっと延々続行していけるはず」というストーリーラインが本物だったと、同じ学園祭というステージでリフレイン演出を使って証明してみせるように。

 打ち切り少年漫画ラストのテンプレのパロディのように、「俺たちの戦いはこれからだ」的に、晶と唯の戦い(というか価値観の違い)はこれからも続いていく……というのがラストのページ。これは、少し寂しいけど、「高校生編」だけなら唯一無二の結末にしてメッセージだった、仲間の絆は切れないし、上昇志向よりもここが武道館でずっとずっと放課後だし、輝きはずっと続行できるよ、というけいおんイズムに、少し釘を刺された感じになってると思う。続編作品の一つのフォーマットで、無印編のメッセージが相対化されて終劇する流れです。確かに、漫画は理想を描くものとは言え、実際問題現実には学生時代の仲間の絆を大事に継承したまま大人として"輝いて"生きている人間というのは少ないものなので、これ以上やると胡散臭さも付きまとうようになってしまうのかもしれない(律に言わせている「それはやだよ!!」とか「もうやっとれんわ!!」なども、作者さんも抱いてるのかもしれないバランスとしてのシニカルさの反映にもみえる)。けいおんイズムも、上昇志向や競争原理の前では常に劣勢なのがリアル社会だし。

 ただ、それでも僕はある種不自由でも紐帯を切らずに一時の縁の共同体と再契約して輝きを続けられたなら……という、けいおんイズムに大変共感していた。これからの時代必要なのはこっち側じゃないかとも思ってます。なので、ラストの制服(ずっとずっと放課後の象徴)に身に着けるTシャツはさわ子先生が作ったという展開はたいへん熱かったですよ。「高校時代が終わって場所的に離れても絆は切れない」という高校生編を証明してる演出だった。高校の部室だけじゃない、街の演芸大会、ライブハウス、夏フェス、結婚式の宴会、海外(劇場版)、場所なんて関係ないよ、共同体も"輝き"も、続けていけるでしょ、というのが「高校生編」だったので。

 ゼロ年代コンテンツ史に残る金字塔であった。かきふらい先生お疲れ様でした。

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