
僕は友達が少ない 3 (MFコミックス アライブシリーズ)
『僕は友達が少ない』いたちさん版コミックス版第3巻の感想です。
3巻では隣人部の新たなメンバー、志熊理科、高山マリア、羽瀬川小鳩らに焦点が。以下、僕なりの私観。
●志熊理科
(主に性的に)マイノリティで非リア充だよロケンローな隣人部テーマを掘り下げていく条件を満たしつつ、男女の恋愛テーマを隣人部に持ち込む起爆剤。
男女間では「友だち」はあり得ないという理科の論→夜空が強く否定する……の流れはたぶんこの作品の核心部分の一つ。前巻の夜空こそ小鷹のただ一人いた親友なんじゃないか伏線からすると、「男女間の親友」テーマは星奈だけじゃなくて夜空も担ってるテーマなのか。今1巻の最初の小鷹と夜空が出会う場面の会話読み返すと、何重にも含意が見えるんだよね。
男女の恋愛が成立してリア充化した時に、隣人部の「友だちインフレ世界に疲れたよ的イデア共同体」は崩壊してしまうので(友だち探しやるより普通に恋愛してた方が楽しいというマジョリティ側に回ってしまうので、隣人部の意味がなくなる)、夜空にしろ星奈にしろ、小鷹との関係には男女の視点からは常にアンビバレント状態になる。この設定は上手い。
●羽瀬川小鳩
もう一つの問題、恋愛エンドにしろ親友エンドにしろ、前巻で提示された価値観、100人分の大切な1人が成立した瞬間に、その人のリソースは大部分がその1人に充てられてしまう、という点に関して、もの申す妹。
今巻では主にマリアと小鳩で小鷹のリソースを取り合う……という形で描かれるけれど、このテーマ上、小鳩の最大の対立項は夜空か星奈のどっちか。夜空か星奈、恋愛エンドにしろ親友エンドにしろ、エンディングに向かうその時、私のお兄ちゃんを取らないでと小鳩が立ち現れる。
怖い。怖いけど、いつか「小鳩にもマリアにも両方お弁当を作ってやる」というのは成立しなくなるのを分かっていながら、そういうリアルを回避してる所に隣人部が成立してる風景というのは切なカッコいい。1巻の感想ではハルヒとけいおん!(!!)とは少し違うと書いたけど、重なりを感じる部分もあります。それは、「やがて来る終わり」が意識されてる謎共同体ものだという点。小鷹が報われた時に、隣人部という共同体の価値はなくなってしまう。この設定も上手い。
◇◇◇
1巻、2巻から輪をかけてえろげーギャルゲーにハマってるキャラ造形になってる星奈さんが切ない。た、確かにイデアはもうゲームの中にしかないかもしれないが。星奈さんはどういう結末になっても涙なしには見られなそう。

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