ジャンプS.Q.で連載中の『るろうに剣心キネマ版』第四幕「正義の行方(後編)」の感想です。ネタバレ注意です。
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 左之助の赤報隊にまつわる過去が出てきたのが好印象。やはり、過去に動機がある登場人物達が、幕末→維新後の時代的には文明開化みたいな流れの中、その流れには無批判にはマッチできず、過去と結びついた実存を引きずって生きている……という雰囲気がよい作品だと思うから。

 刃衛、斉藤らが過去組で、薫、弥彦らが未来組とも捉えられる登場人物配置。テーマの流れなんかはキネマ版も原作準拠なんだろうから、最終的には過去に一区切りつけて剣心も未来に歩を進め始めるのですが、そうすると薫の「語りたくない過去の一つや二つ、誰にでもある」という有名なキー台詞は、モラトリアム容認台詞だったりもするのか。

 剣心にとっては、語りたくない過去を聞かないで許容してくれる薫の存在はある意味この時点では居場所として都合がいい。ネガティブなニュアンスではなく、この前ジャンプに掲載された第零幕でお医者さんが言ってた、精神の療養法としての猶予滞在期間のようなもの。

 最後には結局もう一度ガチで過去と向き合って、その後薫(未来側の登場人物)と再契約するんですが、逆に言えば物語冒頭時点での薫との関係は仮契約状態だったとも言える。

 原典では縁編が剣心が薫と再契約するに至る流れをみっちり描いた箇所ですが、今回のキネマ版は刃衛編がクライマックスになるみたいなので、その辺りをどう描くのか楽しみ。

 べっこう屋(過去)→赤べこ(現在・未来)と変遷した赤べこ前で剣心を待つ薫という絵は色々象徴していてよかった。血刀のもとに新時代を開いてみたら、自分には待ってる人もおらず居場所がなかった……という今回の剣心の心情に対するアンサーになっています。

るろうに剣心─特筆版─ 上巻 (ジャンプコミックス)
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るろうに剣心 全14巻セット (集英社文庫―コミック版)
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