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まず、明治の東京の天を駆る剣心とそれを追う外印という絵が、構図といい疾走感といいもの凄かったです。どういう次元に達すればこんな絵が描けるのかが分からない。昔からハっとするコマ、絵はありましたが、いよいよ一線の漫画家の熟練のネームにコマに絵という印象でした。
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物語は薫が鵜堂刃衛に敗れて捉えられ、いよいよこのキネマ版のそれぞれの最終戦(たぶん)へ、という流れに。
・左之助VS戌亥番神
・斉藤VS外印
・弥彦VS武田観柳
どれも熱いけど、あえて言うなら弥彦VS武田観柳の熱さかな。OldFashioned(昔気質な)の武士道の「刀」VS新時代の力「金」。この後資本(金)主義隆盛に時代は進んでいき、そんな強靭な大きな流れを一少年の昔気質な精神性が止められる訳がないのだけれど、でも一言、そんな流れに物申したい。惚れた女(燕)を勝手に金に換算して売り飛ばすなと、今ではもう脆弱だと言われる価値観(剣)のみの武装で立ち向かいたい。
あとはさりげなく外印は斉藤に任せると言う剣心と斉藤の謎の信頼関係もイイ。反目して決して相成れないけれど、ファッション新時代の流れとは違う「何か」だけは共有している二人という。
主眼の剣心VS刃衛はキネマ版での描き方が楽しみ。結局人斬りに戻りかける剣心を、新時代に出会った関係性の象徴である薫の存在が繋ぎとめる、という土台は変えてほしくないかな。原作でもここが過去から未来への分岐点として描かれてると思うし。
灯燈(とうろう)から瓦斯灯(ガスライト)に変わっていく時代の流れに、無謬には乗れない。剣心はそういう男なんだけど、薫をきっかけにどこかで瓦斯灯を受け入れながら、苦しくても生き続けることを選んでいく。『るろうに』は大まかにはそういうお話だと思ってるので。
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