ネタバレ注意です。アニメ『とある科学の超電磁砲』第一期および、アニメ『とある魔術の禁書目録』第一期のネタバレも記事中に含まれますので注意です。
●第9話〜第10話
フレンダが可愛かった……。
●第11話〜第16話(シスターズ編クライマックス)
第12話「樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)」が美琴の絶望を深く演出するのにかなり効いていて、「禁書目録」よりも感情に訴えかける度合いが強かったように思いました。ツリーダイアグラムを破壊しに行くときの、黒子、初春、佐天さんらを気遣ってる述懐が切ない。友達ではどうしようもない局面で、お母さんもいない、神様もいない、というモノローグが入る。最後の特攻だったツリーダイアグラム破壊作戦も、ツリーダイアグラム自体が既に存在していなかった。よりかかっていたはずのシステム自体が虚構だったというのは、世相的にもしみじみとくる。あとは、自分が無価値であることを証明すれば、わずかだけどシスターズを救える可能性があるようだ。じゃあ無価値な存在として、自分が死のう。
と、いう所で、まったく外部の人間で、通りすがり的な、上条さんがやってくる。上条さんからみた美琴もまだ縁が浅い存在だけど、美琴も上条さんの事情は存じてないのが(禁書目録とかも知ってると分かる)妙。通りすがりの外部の人間が、ヒーローなこともある。
前提として、この時点で、前シリーズ(第一期)最終回でようやっと叫んだシステムに埋没しない個としての御坂美琴のアイデンティティ(の象徴としての超電磁砲)はアクセラレータに敗れて崩壊し、2万人のシスターズはそもそも個としてのアイデンティティがない模造品、消耗品で、美琴本人はもう死ぬしかないと言っている。徹底的に、アイデンティティがボロボロの状態。自己重要感がない状態。自分への無価値感だけがつのってる状態。
そんな状態の美琴に上条さんがかけた言葉が「守ってやる」じゃなくて「協力してくれよ」なのはグっとくる所だった。第16話「約束」の特殊エンディング導入部分は反則。まだやれることはあるよ、あなたは無価値じゃないよ、はシチェーション的、現実の世相的にどこかで欲している言葉。この上条さんと美琴の関係はイイ。
「禁書目録」では、レベル0の上条さんの鉄拳がレベル5の学園最強のアクセラレータに炸裂する部分をクライマックスに持ってきてたと感じましたが、今回は上記の流れもあり、美琴自身が、レベル5として以外のやれることを見つける、シスターズの大量消耗品的無価値感が、「沢山いるからこそできることがある、価値がある」に裏返る所をクライマックスにもってきていた感じ。御坂美琴のアイデンティティはレベル5の超電磁砲だけではないし、シスターズは大量にいてレスアイデンティティ的に全員が繋がっているからこそ、最後の風車作戦が慣行できる。このシナリオは本当凄いと思う。
そうして、お母さんにももう頼れない、神様もいない、信じさせられていたシステムは虚構、という世界で、美琴とシスターズが、友達とはまた違う「姉妹」という関係になった、というエンディング。無価値感を感じがちな世界なれど、この姉妹はお互いを大切だと思った、というようなラスト。堪能しました。
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