週刊少年マガジン連載の、赤松健先生の『UQ HOLDER!』(ユーキューホルダー)、第7話「UQホルダー」の感想です。
 ネタバレ注意です。
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 深読みしてるとも思いつつ、やっぱりメタフィクショナルな要素をかなり意図して取り込んでると感じる今作『UQ HOLDER!』。UQホルダーのアジトが温泉旅館を模しているのも、『ラブひな』をメタに意識させられるようにしてるんじゃないかと。見通せる、行ける範囲に「競争」とか「進歩」の象徴である塔(軌道エレベータ)、そこから少し離れた所に、のちに「(最終回近くの山手線のシーンに象徴されるように)永遠のループ」と語られる『ラブひな』的温泉旅館に模したアジト。ドキドキする絵です。

 最初のイベントが「温泉旅館(ひなた荘/仙境館)の住人に認められること」というのも『ラブひな』と『UQ HOLDER!』で重ねられてると思うのですよ。だけど、やっぱり『ラブひな』と最新作『UQ HOLDER!』では違う要素がある……っていう風な表現なんじゃなかろうかと。

 全体的に楽園状態だった『ラブひな』に対して、『UQ HOLDER!』の方はハード。オーナー的な要素で重なりつつはるかさんより真壁源五郎の方が一癖ありそうな感じだし、当初は懐かない日本刀女子で重ねてみても、素子よりも夏凛の方が厳しそう。

 夏凛は雪姫を除いて初めて出てきた同年代(に見える)悠久の異性ですが、この作品恋愛要素はどうなるのだろう。赤松健先生自体がかなりファンタジーの文脈も継いでいてこの作品も「近未来ファンタジー」がコピーな訳ですが、悠久存在と普通の存在との恋愛は、わりとファンタジーの王道要素(たぶん源流はJ.R.R.トールキンの『指輪物語』のアルウェンとアラゴルン。『ロードス島戦記』のパーンとディードリットも有名だけど、ロードスは世界観は『指輪物語』の影響がある)で、だから第2話に忍と刀太の話を描いてると思うのですが、夏凛を想定した場合、悠久同士の恋愛っていうのは何なんだろう。悠久の共同体とは何か(どうあり得るのか)という話と合わせて、悠久のパートナーとは何なんだろうという話も面白い。


 以下、個人的な、「『ラブひな』と『UQ HOLDER!』で重ねられて描かれていると思われつつ、少しだけ違う要素」を気付いた範囲でメモ。


・しのぶ(忍)と出会い、彼女(彼?)は自分に自信が持てない存在である。ただ、『UQ HOLDER!』の忍の方は当初からどデカい夢を抱いている。

・神鳴流が健在。だけど、『UQ HOLDER!』では物語冒頭時点で主人公にいなされるくらいの位置づけになっている。

・神鳴流剣士の裸をどっきり! 要素が共通。でも、『UQ HOLDER!』では神鳴流剣士が男。

・活動拠点が温泉旅館なのが共通。でも『ラブひな』の終わらないハーレム的楽園とは違い、『UQ HOLDER!』の方の近くには「競争」や「進歩」の象徴の塔(軌道エレベータ)が建っている。


 などなど。





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