ネタバレ注意です。
異文化交流要素で味付けしつつ、基本は日常ほのぼの作品。とくに、その日常を守るとか、そんな日常もやがて終わる……的な要素もそんなになく、これに比べると輝いた時間はやがて終わるし、やがてバラバラになるという問題をどうやって乗り越え得るんだろう、みたいな要素が作品の核に入っていた『けいおん!!』の方がよっぽど熱血。『きんいろモザイク』はあくまで基本はほのぼの押し。
ただ、そんな「輝いてる今」を、違う領域同士(例えば国と国)が容易に接触できるようになった分争いも起こりがちな昨今、平和に営んでいくにはどういうことが大切か、というのはそこはかとなく描かれていると思いました。個性の尊重とリソースの余裕、伝えることの大事さ、みたいなオーソドックスなものなのだけど、本当に大事なことなので心地よい。最終回のミュージカル、金髪大好きの忍が自身の金髪をアリスのために手放す(金髪のアリス、黒髪の忍、という個性)くだりも良かったし、メイン五人ともリソースに余裕がある家庭なので暇で、休日をただ猫を追って街を散策するカレン……みたいな絵も良かったし、クラスが忍とバラバラになったのに落ち込むアリスに、アリスは海を越えてきた、その海だって今の時代飛行機で越えられる、という越境の話も、たいへん良かったのです。
個人的に異文化交流は昔求道していたものであり、今も志向しているものなので、くすぐったくもあった作品。リアルで、短めの期間だったけど金髪少女に日本語教えてたりしてた期間もあったんだぜ……(勝ち誇った顔で)。いつか介護の荷を下ろす時が来て、その時まだそこそこ元気で他にやることもなかったら、また海外の非日本語話者に日本語教えたりする仕事やってみるのもいいかもな……などとしみじみ観ていた作品。
キャラクターの魅力はさすがアニメ化するクラスのエース級の作品で、最初はやっぱり忍、アリスあたりに目がいっていたのだけど、話数が進むごとにカレンも綾も陽子も大好きだ! 状態になっておりました。陽子は、ダークホースだったぜ……。
結論としては(え)、勤勉に働くことも大事なれど、余裕と友情とほのぼので「きんいろモザイク」できる柔和な世の中目指していきたいということです。食事を作り、想像力で他人の立場を慮るために相手の言葉を学び、できれば一緒に楽しく生きていきたい。これは本当に。
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