今週の「週刊少年サンデー」より新連載が始まった小野ハルカ先生の『氷球姫 常盤木監督の過剰な愛情』第1話「愛の観察眼」の感想です。
 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 運動部系女子フェチの主人公が、ネット動画で出会ったアイスホッケーの「氷上の姫君」薔薇紅羽に妄執しストーカー状態になること数年、でも何だかんだで彼女の女子高のホッケー部の監督に……という第1話。

 一方的な妄執から始まったことかもしれないけれど、現実で何かを成すホンモノにしてやるよ! みたいなノリは好き。少し大げさ気味に文脈を広げてみれば、やっぱり最近の今では一笑にふされがちかもしれないゼロ年代的想像力(妄想力)を、現実を変える力にしてみせてやるよ、あるいはできたなら……という作品かもというファーストインプレッション。趣味嗜好的衝動で真剣に動画を追い、妄想・想像し、変態化していた日々を、ホンモノにする時(誰かの役に立てる時)がきたんだ!

 そんなメタフィクションっぽいこと考えなくても、娯楽エンタメとしてキュンと面白かったです。前線には女の子が出て闘い、男子は参謀とか監督、マネージメントポジションというのは『アイドルマスター』とか『艦これ』っぽくて最近の世相をきっちりキャッチしてると思うし、キャラクターも魅力的。

 紅羽と風花の関係とかフライングで良い。チームメイトとして必要なのは強い人間だ。でもそういう弱肉強食とか競争原理では割り切れない「友達」というアバウト感。このアバウト感こそ青春の醍醐味。主人公がきっちりヒロインのその辺りの心理に踏み込み、そこがヒロインが心開くきっかけになってるのも丁寧。構成が堅実ながら心情も描いてる漫画!

 第1話でたいへん好きになった作品。しばらく楽しみに追いたいと思います。