まずは某日、Twitterにアップされていたノウライトさんの黙々とガンプラを作ってる画像をば。


今日はここまで。

素組み完了ー。さて、ここからどこまで手を入れたものか。ビルドファイターズ効果で久し振りにちょっと真面目に作りたい感はあるけど。

左ほほだけお髭の手入れをしてみたけど、このアングルだとたいして違いがわからない罠。


 『ガンダムビルドファイターズ(公式サイト)』、熱いよね。

 そして唐突ですが、評論の世界に、「効率性」と「愛」を対照的な概念として捉えた箇所が出てくる、上田紀行『日本型システムの終焉』という書籍があります。
 書籍中の事例だと、学生時代のテストの時、「地理」のテストは終わったので、次の「古文」のテストの時間までの休み時間は、効率的に古文の勉強をして過ごそう、というのが「効率性」側の発想。一方で、俺は「地理」が大好き過ぎて、朝も昼も夜も地理のことを没頭して考えてるぜ! というのが「愛」側の発想。

 全体としては、「愛」側の発想で生きる時間がないと、幸せにとかなれないよね、と、そんな感じの評論です。

 と、この話を前提に考えてみると、ガンプラを作ってる時間って、愛だよね。

 という話です。まさかの、「ガンプラ作成=愛」仮説。哲学史に一石を投じたい!

 フと気を抜くと、ふぁっきん「効率性」を外部から要求されがちな世界、「ノルマ」とか、言葉を聞いただけでちゃぶ台をひっくり返したい!

 しかし、リアル社会でそうそうちゃぶ台をひっくり返す訳には中々いかない大人な我々。じゃあ、どうやって「愛」を取り戻すのか、というと、そうさ、ガンプラを作るんだ! というのが一つの発想という話です。 ねちねちと削り、黙々と塗る時間。没頭……。

 そろそろ、末世の効率性要求世界に、こんな大人の相談内容がホビー誌に(え)掲載される時が来るかもしれない。


-----------

Q:「商業クリエイターですが、納期と作業ノルマに追われているうちに、創作に喜びが見い出せなくなりつつあります。どうすればいいでしょうか?」

A:「ガンプラを作りましょう

-----------

-----------

Q:「Facebookに広告が表示されるオイアミ(仮称)など、少ない投資でいかに沢山の異性と出会えるか各種出会い系サイトや婚活サービスを比較したり、空き時間でスマホで効率的に読める恋愛●学のメルマガなどで恋愛について一生懸命勉強したりしてるうちに、いつの間にか異性が数字に見えるようになってきました。どうすればいいでしょうか?」

A:「ガンプラを作りましょう

-----------


 上田紀行氏の論を全部支持とも言わないですが、愛とは非効率な側面があるという点には同意です。子育てとか介護とか、「効率的に上に行く」観点からは非効率極まりない。それでも、なんでやってるのかって言ったら、愛!(某映画のクライマックスのごとく)のためでしょ。

 「効率性」の全てがダメとは思いません。雑事(自分にとって優先順位が低いことなど)をこなす時とか、効率的にやることを追及することがプラスに出る面も多々あるかと思います。ただ、愛ある豊穣な時間を確保するために雑事を効率的に終わらせていたはずが、気が付いたら愛の時間が効率性に浸食されていた、となってきたら危険信号だよね、という話です。

 『プリキュア』も『まどか☆マギカ』も、今年はキーワードは「」。そして何という事か、『ガンダムビルドファイターズ』まで、キーワードは「愛」だったってことか(え)。

 『ガンダムビルドファイターズ』の凄いところは、ラルおじさんの台詞などから、グフを丁寧に仕上げる方向でガンプラに没頭すること、その状態そのものの是がメッセージとして語られている以上、必ずしも最新の作品や玩具を効率的に追うことだけが是ではなくなっている点です

 過剰消費文明真っ最中の現在、ガンダムシリーズだけでも新しいのがどんどん作られて追うのが大変、何とか最新のファッションだけでも効率的に情報追える方法はないかな?

 その発想がおかしい。

 ということをある意味描いてしまっているので、もう別にビルドストライクガンダムを追うのとか、最新verのストライクフリーダムガンダムを追うのとかだけを良いとも言わないのです。俺は、リック・ディアスを作る。何故なら、愛してるからな! という世界です。ガンダムダブルエックスを黙々と作るノウライトさんカッコいい。

 そういうわけで、「反逆衝動の昇華」はある意味娯楽エンターテイメント作品の花形要素ですが、ふぁっきん「効率性」を外部から過剰に求められがちな昨今、一般人がどうやってそういう世界に反逆していくかと言ったら、そう、愛を込めてガンプラを作ることだった……かもしれない……。

 「黒の騎士団」を作って世界に反逆するフェーズはそろそろ終わったのかもしれない。なう(え)な反逆行為は、黙々とガンプラを作って愛を嗜むことなのかもしれない。







→前回:ガンダムビルドファイターズ/感想/第1話〜第6話(ネタバレ注意)
→次回:『ガンダムビルドファイターズ』最終回の感想へ