地元仙台が舞台のアイドルアニメ『Wake Up, Girls!(公式サイトニコニコチャンネル)』。本日、まずはTVシリーズの前日譚たる映画版、『劇場版「Wake Up, Girls!七人のアイドル」』を観てきて良かったので。そして一生に一度あるかないかのストレートに生まれ育った地元が舞台になってるアニメですので、個人的に『コードギアス反逆のルルーシュ(R2)』の時以来、感想トラックバックセンターの運営やろうと思います。

 TVシリーズ第1話は、僕本人は1月12日(日)深夜の仙台放送での放映orニコニコチャンネルでの配信が開始してからの視聴になりますが、最速放映地域は本日10日深夜からとのことで、早めに記事を立てておきます。(追記:1月13日、管理人の感想を書きました。)

 なお、
 公開劇場が少ない感がある『劇場版「Wake Up, Girls!七人のアイドル」』ですが、劇場に足を運べないという方は、有料のようですが、本日(11日)深夜よりニコニコ生放送でも観る機会があるようです。↓


【劇場同時放送】劇場版「Wake Up, Girls!七人のアイドル」上映会 [有料]/ニコニコ生放送


 僕が本日観てきた感想はこちら(ネタバレ注意です)↓


Wake Up, Girls!/感想&トラックバックセンター/劇場版「Wake Up, Girls!七人のアイドル」(ネタバレ注意)


 地元が舞台のひいき目もたぶんにあると思いますが、良かったですよ。

 『Wake Up, Girls!』公式Twitterさんの本日のツイートより引用


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この「Wake Up, Girls! 七人のアイドル」が、仙台市より「仙台シネマ」の認定を頂きました。まだ、始まったばかりでなんの成績も残さない中なので大変恐縮ですが、仙台の美しい街並みを企画段階から丁寧に描こうと努力してきた結果かと思います。 #WUG_JP

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 熱い。

 本当、仙台の風景を美麗な背景美術で描いておりましたからね。

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(感想/1月13日追記)

 一人あげるなら真夢が主人公だった劇場版に比べて、未夕がむしろ出番が多い。あざとい、あざといを演じてる感がまたあざといけど可愛い……とか、そういう感想もあるのですが、

 何より同じライブシーンの映像でも、当事者の文脈込みで一回性の「生の」体験として劇場版で目撃するのと、TV版のように複製された記録映像を後から遠くで鑑賞する(TV版は、真夢が劇場版の「あの時」のライブ映像を時間が経ってからスマホで観る、という描き方になっている)のとでは、受け手側(視聴者側)の文脈が違うので印象が変わる、ということをメタな仕掛けとしてやっている凝りように驚いたのでした。これは、ちゃんと意味がある劇場(生の体験、ライブよりの娯楽)とTV(複製よりの娯楽)の使い分けだわ……。

 特におそらくはTV版の第1話だけ観た人からライブシーンでパンツが見えるというのが話題になってる感じなのですが、それはTV版だけの視聴者目線としては、あくまでライブで起こった事を後から記録映像で観てるという文脈なりの感想になるように仕掛けてあるのですね。そこでは「生の」ライブにある様々な情報は捨象されて映るようになっている。一方で劇場版で観た人には、一回性の生々しいライヴの文脈込みであのライブシーンを体験できるように仕掛けている(生でどういう出来事があってどういうシチェーションで、あの地方都市の幸せな人たちが行き交うクリスマスの日に、勾当台公園でアンスコも履かずに破れかぶれのノリで彼女ら7人がライブやってるかには、ちゃんと一回性なりの文脈があるのです。でもそれは複製映像だけ観る人には伝わらない、ということを「コンセプトとして」おそらくやっている)。『Wake Up, Girls!』は映像の単独TV作品というよりは「プロジェクト」だなと改めて感じた部分です。

 例えば『OFFICIAL GUIDE BOOK』を読むと、アニメ劇中のキャラクターのアイドル達と、現実のそれを演じている声優さん達のアイドルユニットが、虚実織り交ざる感じにわざとしてるのもコンセプトの一つだといった趣旨のことが書かれているのですが、これも遠くで複製されたアニメだけ観てる視聴者と、現実で実際に現場に行って声優さんたちとのライブのイベントに参加してる人たちとでは、受け取り方、体験に違いが出てくる部分です。「アイドルは物語」というのが、劇場版での劇中の丹下社長の言葉にも出てくるし、山本監督もインタビューで答えておられるので(参照:山本寛監督直撃 東北とアイドルへの思いから生まれた新作「Wake Up, Girls!」は「遺言みたいな作品」/東スポWeb)、この作品におけるアイドル観の重要な部分かと思います。そして、確かにそう言われると、近年のユーザーとアイドルの関わり方って、「遠くにいる映像の向こう側のアイドル」と「一回性の現実を生きてる、当人の生々しい物語があるアイドル」と、二つの側面から観てる気がするのですよね。「TVの歌番組で観る」は前者だし、「ライブに行く」や「握手会に行く」は後者より。公式ホームページの制作サイドからのキーフレーズは「アイドルへの想いをすべて『Wake Up, Girls!』にぶつける。」ですが、そこに「近年のアイドルにまつわる事象を全部描く」くらいのノリが入っているのなら、この対照で描いて行くのは納得だなと。

 劇場版にも「TVやBlu-ray」、今回の第1話でも印象的に「TV」に劇中のトップアイドル「I-1クラブ」が映る、というシーンがありますが、「I-1クラブ」が前者側なんですね。競争の果ての上澄みの中央のトップアイドルで、「遠い映像の向こう側」のアイドル。エスタブリッシュメント(土台が確立された)側のアイドル。そっちは洗練されていて、高い衣装を纏って、歌い、踊る。一方で「WUG!」は、地方の、未熟で、粗野で、お金もなくて、これからで未知数で、あるいは汚れてもいるかものような、でも一人一人の各々の物語が身近に感じられる、生のゲリラ感が漂う的なアイドル。そういう対照なので、まあパンツが見えちゃうのはサービスシーンでもあるのだろうけれど、例えば同じ劇中でも「I-1クラブ」が踊ったり歌ったりするシーンではたぶんパンツは見せないのね。一方で「WUG!」は今後もパンツ見えちゃうかもなアイドルだという、そういう対照を、色々な事柄に「コンセプトとして」かけて描いているのだと思うのです。そんな対照なのに、それでも元「I-1クラブ」のセンターの島田真夢は「WUG!」の方でもう一度アイドルをやりたいと再生を希求した、というのがこの物語のおそらく一つの核心部分。

 そして、今までは公式ホームページの断片的な記述から推測するだけでしたが(夏夜は気仙沼出身で海が嫌いとか)、プロジェクトも本格スタートして、山本監督もインタビューでこの作品の大きな動機の一つは東日本大震災と明確に語るようになってきてもおりますので、ここに、「複製された記録として遠くから観る画面越しの被災地域」と「実際の現実としての生の被災地域」もおそらくコンセプトとしてかかっている。だからこのアニメは舞台が東北の仙台なんですね。第1話でも実波が石巻の仮設住宅でお年寄りたちと話してる(良い娘だ……)シーンがありましたが、実際に仮設住宅で暮らしてる人たちの生活、近くに仮設住宅がある、修復中の地方都市で暮らす生活、複製記録された映像を通して見るだけなのと、現地の生の実際とは、やはり異なると思います。僕でも、中央では記録を通して報道もされないような生の話、沢山持ってますよ(笑)。その二つの間に橋をかける、そういうコンセプトのプロジェクトでもあるのだろうなと。また昨日はノリで聖地巡礼行ってきて、そのままノリで英語Facebookページに『Wake Up, Girls!』ファンページ作ったのですが、けっこう短い期間に色々な国の人達から「イイね」ついたりもしましてね(『Wake Up, Girls!』の映画は海外向けには108ヶ国に同時配信されている。)。海外の視聴者の方の立場からすると、逆に配信されてるアニメが「記録としての遠い向こう側」で、現地の仙台にいる僕なんかの暮らしが「現実にあるライブ」なんだろうなと。個人的にはこの時期に仙台が舞台のアニメを作ってくれて感謝しかないです。

 まとめると、


 複製された記録の向こう側−実際の現地での一回性のライブ
 TV版で観るライブシーン−劇場で観るライブシーン
 中央エスタブリッシュメントアイドルとしての「I-1クラブ」−地方のパンツも見えちゃうかもな生のアイドルとしての「WUG!」
 複製されたアニメだけ観る−現実にいる声優さんのライブイベントに参加する
 記録映像の向こう側の遠い被災地域−実際に生の生活がある被災地域
 海外の視聴者が遠い国の地方が舞台のアニメを配信で観る−実際にその国の地方都市で生きてる人たちがいる


 がそれぞれ対になっていて、どちらを否定肯定もしないけれど、その両者に橋をかけるように進んでいくプロジェクトが『Wake Up, Girls!』なのかもしれないという感じですかね。

 エンディングは宮城学院(劇中の島田真夢と林田藍里が通ってるとされる高校。実際にある)内から始まる、仙台の様々な風景映像。良い都市ですので、一度はお越し下さい(笑)。

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 TVシリーズの第1話の僕本人の感想は1月13日以降にこの記事に追加でアップしますが、とりあえず最速放映地域で第1話の感想をブログに書かれた方おられましたら→アップしました(1月13日追記)。この記事にトラックバック頂けたら幸いです。『コードギアス』の時は一記事週10000PVとかいってたので、ある程度アクセスアップに貢献できる可能性もあります。今回はTVシリーズも毎話感想記事を立てるつもりでおります。応援したい。

 ブログ自体が今ではもう各種新しいSNSなどに押されて劣勢なメディアという感じですが、だからこそ、この作品で久しぶりにやってみるのに意味があると感じております。

→劇場版Blu-rayは2月28日発売



→こちらの『OFFICIAL GUIDE BOOK』、これまでの版権イラストは(たぶん)網羅されてますし、スタッフの方々に声優さんの方々のインタビュー、仙台の聖地に関してまでと盛りだくさんだったのでお勧めです。



→前回:『劇場版「Wake Up, Girls!七人のアイドル」』の感想へ
→次回:『Wake Up, Girls!(WUG!)』第2話「ステージを踏む少女たち」の感想へ
Wake Up, Girls!雑記(2014年1月12日"聖地巡礼その1")へ
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