週刊少年マガジン連載の、赤松健先生の『UQ HOLDER!』(ユーキューホルダー)、第18話「友達だよね?」の感想です。
 ネタバレ注意です。
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 18話にてUQホルダーの弱点が露呈。早いです。様々な物語を早い回転で回す作劇です。

 弱点っていうのは刀太が吸血鬼封じみたいなものでやられた、つまり殺されなくても対応策があるという点もそうなんですが、もっと根本的なのは遠距離かつ複数に同時に火を放たれる&大量の自動傀儡人形の方ね。悠久の身体一つで戦うというのが、劇中の「悠久VS最新」の構図からすると悠久側のカッコ良さだったと思うのですが、身体一つでは複数の火事を同時に消すことはできないし、物量でこられると対応できない。前話の貧民街のお掃除ロボットの話の所で「最新」側の利点に「量産化」がある点を前もって描いておいて、今話で量産の武力(大量の傀儡)の前に「悠久」のメンバーが押されるという流れを作ってるのは上手い。

 で、その流れでサブタイトルに「友達」ワードを持ってきてるんですよね。悠久の身体と言えども刀太一人ではもう今話時点で敗北していたけど、まだ九郎丸がいるという熱い展開。で、今話で九郎丸がしきりに仲間と連絡を取ることを提案してるんですね。これ、だからUQホルダーは「徒党」なのかなと。2013年〜2014年の日本発創作作品って、「一人のスーパーヒーローが何とかしてくれる時代は終わって、問題解決のためのリソースを追加しよう」ってお話が多かったと思うのですが(『ドキドキ!プリキュア』とかね。)、『UQ HOLDER!』もその流れなのかもしれない。これ、助っ人が来るパターンっぽい気が。九郎丸の言う「大規模火災の消化が可能な人材」がいるんじゃないだろうか。一人で解決できないなら、堂々と友達の、仲間の力を借りればいい。適材適所。もう、おそらくはこの流れのために、数話前で改めて一つの領域に固執しない刀太のあり方を描いていただろう点も上手い。例えば、料理、歌、小説、機械、刀太が一番を目指して頑張る必要は必ずしもなく、問題解決のために、必要なタイミングでそれぞれが得意な田舎の友人たちに任せればよい。それも正義の味方の形。そこで、そういった田舎の「友達」達と互角の存在になるための、「友達」としての九郎丸のターン。物語、盛り上がってきております。

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●以下、週刊少年マガジン2014年7号に掲載の「会いにいくよ」最終回のネタバレ注意

 この東日本大震災における『「ここ」と「あちら」』、『「東京」と「被災地」』を扱った作品で、山手線のループに象徴される「終わらない日常」の作品と評されることもある『ラブひな』の成瀬川と景太郎を、「ここ」「東京」側、つまり『「日常」と「非日常」』の対照における「日常」側のシーンに描くことを惜しみなく提供している点に、赤松先生やっぱり凄いなと思いましたよ。決して、無謬にはポジティブなシーンではないですよ、被災地の実際の現状は知らないまま、今日も「ここ」では山手線は回り、幸せそうな人は幸せそうだ、というシーンなので。

 赤松先生も当初から協力姿勢でしたが、『はじめの一歩』の森川ジョージ先生の入魂作も完結。『会いにいくよ』単行本は3月7日発売予定とのこと。当初の発表から変更が無ければ、初版分の何%かは東日本大震災の支援に回されるはず。みんな買おう。

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