週刊少年マガジン連載の、赤松健先生の『UQ HOLDER!』(ユーキューホルダー)、第21話「刀太復活」の感想です。
 ネタバレ注意です。
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 一族の繋がりから排斥され、神鳴流にも己の本然を見いだせず、性的マイノリティで……と、何かと「歴史」と断絶してしまってる九郎丸が悲しく敗北した所から、いよいよ「歴史」、「悠久」の逆襲のターン。前話の夏凛先輩の背景の「歴史」、「悠久」度の格の違いを見せつける展開から続いて、刀太の背景の「歴史」が描かれるターンでありました。

 つまり、『ネギま!』のネギの血筋であるらしい所の、「闇(マギア)」の属性が刀太に発動(『ネギま!』には、ネギが己の本質が「闇」であると自覚するまでの物語があった)。ともすると断絶した今だけを刹那的・孤独に生きてると絶望してしまいがちな現代人だけど、過去から、例えばお祖父ちゃんから、実は歴史が繋がった上で現在の自分という存在は生きている。この「過去の歴史からリソースが追加されて逆転する」感、熱いな。

 盲目の剣士がマクロな世界観の「歴史」を解説してるパートが入ってるのも、大きい世界の話と、刀太という個人の小さい話がリンクしてる感じで、物語全体が骨太になっている感じ。火星関係の話題がいよいよ出てきました。ネギが追った理想の後の歴史から繋がって、最新の物語に至っている感じ。

 また、「闇」が発動してから灰斗に一撃を加えたのが、第1話と同じ右の中段突きで、ようはこれはネギのオリジナル技「雷華崩拳」を刀太が「歴史」の文脈の中で継いでる的な描写だと思うのですね。第1話にしろ今話にしろ、構図とかも『ネギま!』でネギが使った時(例えばVSラカン戦とか)とかに重ねてる感じですしね。そして、ネギの中国武術系の技術の師匠は古菲なわけで、ますます、僕としては引き続き、ネギと結婚するのは古菲説を推したくなるわけです。ちょうど火星の話が出た今話で崩拳とか、意図した描写に思えちゃいますよね(この説では、古菲と「火星人」を名乗っていた超に血縁関係があるという説なので)。

 この手の、「歴史」が自分の知らない所で力を貸してくれている的な描写は好き。劇外で言えば、それこそ『ネギま!』のようなゼロ年代作品が、あるいはもっと遡って漫画の歴史上の作品が、今に対してもきっと力を貸してくれる、というような話ですしね。

 今は孤独にあえいでいる九郎丸にも、例えば「神鳴流」関係とかで、「歴史」と繋がれる瞬間が訪れるといいのですけどね。

 今話は熱かった。

→第2巻予約開始



→最終回には赤松先生も「コンセプチュアルな"東京の群衆のシーン"」で参加。『はじめの一歩』の森川ジョージ先生が描いた東日本大震災を題材とした漫画『会いにいくよ』も予約開始。(企画発表当時の広報がそのままなら、初版売上の何パーセントかが震災関係の寄付にまわされるとのこと。)



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