どうも、相羽です。

 今回は、2014年にもなったことだし、これから改めて英語の学習に取り組むぞ、という方向けのレポートをお届けさせて頂きます。

「関係代名詞」がどうこうというような実際の英文法知識とか、こういうシチェーションではこういう言い回しを使いますというような表現力アップのトレーニングとか、「英語学習」と言った場合に色々と想像するイメージがあると思いますが、そういうこと以前に大事な英語を学習していくにあたっての基本的な「作戦」に関してこのレポートではお送りしたいと思います。
 このレポートの話は、震災以降僕がここ数年やっている地域貢献も兼ねた近所の塾での英語の授業では、まず初回に学生さんに必ずする話です。意外とこういう基本の基本をすっとばして参考書を買い漁ったりに走る方も多いので、ここできちっとこれから英語を学習していく「作戦」を俯瞰しておいて頂けたらと思います。

 まず、英語学習を、3つの段階に分ける、という発想をしっかり押さえることが大事です。その3つとは、以下となります。


1. 英単語力を強化する。
2. 英文法力を強化する。
3. 英文読解トレーニング&英作文トレーニング(実際のインプットトレーニング&アウトプットトレーニング)



 この3つを、


A. 別の作業と意識しながら
B. バランスよく強化していく



 これが基本的な「作戦」になります。

 ここを意識しないで、例えば「3」の一部である、実際のインプットトレーニングにだけいきなり走ったりする学習者が後をたたず、「聴き流しているだけで英語が喋れるようになった!」的教材のプロモーションの餌食になっていたり、な現実も一部あったりします。アレは、嘘ですから。いや、CMとかでやっている「My hobby is watching movies.」くらいのレベルの英文までであればやみくもに沢山聴いてれば喋れるようになりますので、全く嘘と断じるのも言い過ぎかもしれませんが、そういう低いレベルの英語力を目指してる訳ではないのですよね? 自身の言葉として生成した表現を、納得した上で発信して、時に感覚的に、時に論理的に、英語という思考の土台を使って他者とコミュニケーションしていきたい訳ですよね? だとすると、「聴き流しているだけで英語が喋れるようになった!」という類の学習法ではダメです。いまだに、赤ちゃんは聴いているだけで英語が喋れるようになるじゃないか、というようなことをかなり立場も力もある人が平然と発言したりもする世の中ですが、それは言語学的な「クリティカル・ピリオド」の問題を無視し過ぎていますし(聴くだけである言葉が身に付くには年齢の制限(12歳くらいまでなど諸説)があるとする説)、また、仮にその方針で幼少期から英語のシャワーを浴びせれば確かにその児童は一定のレベルで英語が喋れるようにはなりますが、それはその子の精神基盤・思考基盤が英語になるということを意味しますので、地域的多様性の中の一つとして大事な、「日本語で思考する」伝統文化を捨ててしまっていいのか? という観点からまた問題が出てきます。

 さて、そういういくつかの観点から、既に思考基盤は日本語で、これから日本語と英語を「架け橋」的に使っていける、使い分けていける表現者になりたい、という方のための基礎的な英語学習の「作戦」をこのレポートではお伝えしている訳ですが、上の3つに少し解説を加えていってみましょう。


1. 英単語力を強化する。

 わりとそのままです。言葉の基礎は単語ですので、一定の英語の語彙は暗記して頂かないと、何も始まりません。

 残念ながら、一番講師としては手が貸せない部分でもあります。僕が頑張っても、僕の英単語力が増えるだけなので、こればかりは学習者であるあなた自身に頑張って貰うしかないのです。

 とは言え、お勧めの単語帳を教えたり(いくつかポイントがありますが、「コーパス」という発想を取り入れている単語帳と取り入れてない単語帳では雲泥の差が出てきます)、定期的にメールを送って暗記のペースメーカーになったり、「こういう語群はこういう発想でまとめて覚えてしまうと良いですよ」と知識面から少しサポートしたり、ある程度は講師も力添えできます。

 その一方で、この段階だけは黙々と英単語にふれ、ブツブツ口ずさみながら紙に書いたり、iPodに入れた英単語音声ファイルを行き帰りの電車で聴いたり、とか、学習者自身の頑張りで頑張って貰うしかない部分、と、ある種残酷ですが偽らずに告げておきたいと思います。ただ、「ハマる」と結構楽しくなってきますよ。僕なんぞは専門家だからというのもありますが、今でも「やることだいたいやって時間空いたし、単語の暗記でもやるか」という文脈で日々生活しています(笑)。


2. 英文法力を強化する。

 日本のこれまでの中学〜高校の英語教育を経由してきている大多数の皆さんが苦手意識を持っている箇所かと思いますが、「やはり大事だ」という側面と、「とはいえ標準的な日本の高校などで今でも教えられている英文法の教授法は学問の最先端からすると30年ほども前のもので、時代遅れにもほどがある」という側面と、両方お伝えしておきたいと思います。

 「やはり大事だ」という話としては、先ほどあげた、英文法学習を無視した、とりあえず英語のシャワーを浴びて喋れるようになりました式の学習法でも、例えば「居酒屋で何となくノリで外国の人とコミュニケーションする」くらいの目的なら、ある程度いけちゃいます。その発想はそれはそれで大事で、


This food, good good, delicious!


 と言っていれば、とりあえず「この食べ物美味しいって言ってるんだな」とは十分に相手に伝わります。そこには、洗練された英文法知識はそんなに必要ない。この「とにかく伝える」という発想はこれはこれでとても大事です。良く言われているように、完璧を目指し過ぎて何も喋れないよりは、不器用でもどんどん喋っていった方が良いです。

 ただ、これもあなたはそのレベルで満足するのを目指しているのか? という話になっていきます。
 同じ居酒屋での「食」の話題でも、例えば、


I appreciate a person who cooks traditional foods because cooking foods is a basal cultural activity all over the world.


 とか、このくらいは表現してみたい訳ですよね。こういう段階を目指すとなると、やはり従来の学校英文法の用語で言う所の「関係代名詞」や「接続詞」の働きは、「知識として(丸暗記で問題が解ければイイとかではなく)」押さえた上で、実際のインプット&アウトプットトレーニングに入っていった方が、効率も良いし英語の実力の骨太さも上がります。

 一方で、「とはいえ標準的な日本の高校などで今でも教えられている英文法の教授法は学問の最先端からすると30年ほど前のもので、時代遅れにもほどがある」という話としては、はい、「関係代名詞」、そういう文法的な働きを知識として押さえておくのは意義があるという話をしました。でも、「格」によってwhoとwhomを使い分けて、こういう時はどれを使うかプリントを使って問題解いて学習……みたいな。しかも問題の内容も選択式問題! みたいな。今でもわりと一般の日本の中学・高校でまかり通っているような英文法学習法は時代遅れにもほどがあるという話です。

 少し講師の立場からの専門的な話になりますが、「関係代名詞」の項目なら、「関係副詞」などと合わせて「Wh-系」の表現として統一的にまずは把握して貰って、どんどんシチェーションを鼓舞してアウトプットして貰うというような、より最新の、実際に使えて感覚も磨かれる教授法があります。また「仮定法」なら「ボンヤリ感」をキーワードに「敬語表現」などと統一的に教授する方法があります。この方法で伝授されると、学校英文法の「仮定法」の項目だけを一生懸命勉強しても、今一つ分からない以下のような英文、


I WISH this game was in the US. Oh man!! Maybe I should move to Japan for it. (ああ、このゲームがアメリカにもあったらなぁ。私、このために日本に引っ越そうかしら。)

(Melonie Macさん(アメリカの有名なYouTuberの方)の新春のゲーム「艦これ」の記事を見ながらのFacebook投稿より。日本語訳は相羽。)


 こういう表現が理屈と感覚の両面から分かるようになります。

「分詞」「形容詞」「不定詞の形容詞用法」といった項目も、最新の教授法なら統一的に「名詞に情報を付け加える能力」として捉えて貰って、どんどん使って練習して貰う類の項目です。

 その他、こういう今の時代の教授法にアップデートして教えないといけない項目が沢山です。教育改革が叫ばれて久しいですし、近年ようやく国内の英語公教育の世界にも動きが見られますが、英語の試験をTOEFLにしようとか、直接法(英語で英語の授業をする)を導入しようとか、現段階で出ている話を聞いている範囲では、問題の本質はそこじゃないだろうと感じざるを得ません。普遍性と個別性を念頭においた近代の言語学の成果や、知の複合化でここ10年ほどで一気に進んだ認知科学の成果、そういうものを使いこなせて、かつ実際の指導の場数も踏んでる講師、こういう人材の育成&現場投入が遅れているのがどちらかというと問題の本質です。国も動き始めてはいますが、えてして動きは遅いですので、この辺りは現時点では自衛していかないといけないです。自衛というのは、各々勝手に最先端の教授法で書かれているテキスト、そういう教授法で教えられる講師に当たる、ということです。

 「英文法学習」についての項目でしたが、実は実際に英語が使いこなせるレベルになるのに、基礎的な文法項目はそんなに多くないです。僕がよく生徒に話しているのは24項目くらいだよ、という話です。例えばその項目の一つは先ほどあげた「関係詞(関係代名詞も含まれる)」とかですね。1項目、1項目、それぞれある程度学習時間は必要になりますが、一週間に1項目で、半年くらいで網羅できると考えると、そこまで身構えるほどのものでもないと思います。この「英文法に習熟できた」という段階さえ超えれば、あとは単語を覚えれば覚えるほど、実際の英文読解や英会話をやればやるほど、どんどん英語力が伸びる、という段階に入れますので、是非、ここを逃げないで取り組んで頂きたいというのが、本当の意味での日本語と英語を行き来するような表現の生成力を、ちゃんと身に着けて欲しいと思っている語学講師からの願いです。


3. 英文読解トレーニング&英作文トレーニング(実際のインプットトレーニング&アウトプットトレーニング)

 さて、最後の三段階目です。便宜上「英文読解」や「英作文」という言葉を使いましたが、そういう文字での言語活動だけではなく、音声言語での活動、つまりは英語での発話(スピーキング)やリスニングもこの段階に入ると考えて下さい。ようは、実践としての広い意味での「インプット&アウトプット」のトレーニングの段階です。

 この段階では、「今までの1〜3の段階には順番がある」という話と、「実際にこの段階では、現代の最先端で、また一般人でも取り組みやすいトレーニングとしてはどういうものがあるのか」、という話をさせて頂きます。

(続く)
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(レポートのサンプル版はここまでとなります。続きは2014年3月11日から改めて募集開始予定の、僕のRebuild(再構築)版英語学習講座、『表現者のための英語再学習』にお申し込み頂けた方に、特典として完全版をお渡しいたします。

 このレポートの続きでは、


・脳科学者の茂木健一郎氏の英語学習観を批判的に取り上げる。
→天才系の人と一般的の人に、それぞれ適した学習法があるという話をさせて頂きます。
・相羽が実際に今でもやっている英語の実戦トレーニングの方法。
→主に社会インフラとしてのネット環境が変わったので、2006年〜2008年以前と以後では、効果的な英語学習法がまったく変わってしまっています。それ以前の学習法しか知らなかったという方には、意味がある話をお届けできると思います。


 などなど、と、けっこう面白い話が続きますと予告しておきたいと思います。

 このサンプル版までがPDFで5ページ分、完全版は約14ページ分となります。)

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 このレポートの続きも特典として受け取って頂ける、一番基礎的なコースは受講料2592円(税込)を予定しております。今年、2014年こそは本当に英語を高いレベルで習得したい、という方は、募集開始の際は、お申込み頂けたらとても幸せです。

(追記:講座の募集を開始しました。こちらの記事から募集要項をお読み頂けたら幸いです。

メルマガTwitterでも本講座について少しずつ書いております。