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記事中はネタバレ注意です。
リゼがラビットハウス、千夜のお店、シャロがバイトしてるお店を掛け持ちでバイトするも、それぞれのお店は別にライバル店的に客という有限のリソースを奪い合うゼロサムゲームをやってないのが特徴(ラビットハウスと千夜のお店の対立が既に解消されてることは、わざわざ第2話で作中で触れられている)。それぞれのお店が一つの「共同体」だと思うと、2014年以降型作品の趣きです。
この作品に共同体(=コミュニティ)考的な側面があると思って観てる視聴者がどれだけいるか不明なれど、かたくななほど、リアル世界で減衰に向かっているような「学校共同体」と「会社共同体」に重きを置かないのは、作品の大事な部分のように思います(第4話の千夜の「学校以外だってこうして会えるんだもの。私達、大人になってもずっと一緒」など)。
ある研究によると、人間は普通4〜6個のグループ(コミュニティ)に属しているものらしいのですが、これが少なすぎると精神的に良くないし(いわゆるリストラされて会社コミュニティから断絶したら孤独だった的な)、逆に、めちゃくちゃたくさんのコミュニティに同時に所属できるわけでもない。
そして、ここからはある程度私見ですが、この4〜6個のコミュニティが、「自分の本質に合ってる」人ほど、幸せに生きられるように思います。例えばですが、1つ、半強制的に所属してる会社コミュニティがストレスになっていても、その他の2つ、趣味コミュニティと家族コミュニティが自分に合ってれば、自分の本質とマッチした居場所になってれば、総合的に精神負担は何とかなる、的な。わりと真面目に、心の病気状態になってる人には、コミュニティを調整する、という処方が有効ではと思っていたりもします。控えめに言って、仮に人生で関わってる4〜6個のコミュニティが全部自分にマッチしていて、楽しい、という状態の人は幸せ度も充実してそうだし、心の風邪を引いてる確率も低そうでしょう。
なので、コミュニティ再構築的な要素が作品に盛り込まれ、その作品の作り手とファンの輪自体がコミュニティ化する最近の現象は、精神的に負荷がかかり過ぎてる時代の(自殺者年間3万人ですからね……)、必然の要請とも感じているのです。ラブライブムーブメントもそういう作中の主題と連動したコミュニティ形成モデルだと思ってますし、我らが仙台の『Wake Up, Girls!』も含め、「ご当地アニメ」が次々生まれているのは、趣味共同体と場所的な地域共同体を何とか接合して再構築しようという試みかと思います。まず精神の危機(と連動した様々な現実の問題)があり、それの処方として、作品とムーブメントの性質が一定の方向に向かっていっている最近の感じ。行き着く先が良い感じかまだ分かりませんが、そこそこ発想と方向性は良いかもなとは思っています。
そんな流れで、喫茶店共同体というちょっと新しいカタチ(厳密に考えていくと、ある時期への回帰も含まれてると思うけど)の共同体を描いてるフシがあるこの『ご注文はうさぎですか?』という作品に、青山ブルーマウンテン先生という、これもまた会社共同体には属していない(フリーランス的、ニート的ということね)小説家が今話から登場。これも、大規模でエスタブリッシュメントな共同体には所属できない立場の人が、喫茶店共同体に関わっていく……的な方向に進んでいくのだと思います。
ちなみに、「共同体」には象徴が存在した方が何かとよく、「革命的ブロードウェイ主義者同盟」なら上坂すみれさんだし、ラブライバーならμ'sだし、ワグナーならWUG!メンバーとかかと思います。この手の象徴と共同体の関係が、昔の地域共同体と巫女との関係とかに似てるな〜というのは想いを馳せられる部分で、何かしら精神的危機時代に処方箋を構築していくのに、ヒントになるのかもな、とも思っていたりです。
→前回:アニメ『ご注文はうさぎですか?』第4話「ラッキーアイテムは野菜と罪と罰」の感想へ
→次回:アニメ『ご注文はうさぎですか?』最終回の感想へ
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