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 『仮面ライダー鎧武(ガイム)(公式サイト)』、第31話「禁断の果実のゆくえ」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 大多数を犠牲にしても一人の少女を救いたくて大本の力を押さえているロシュオさんは、『仮面ライダー龍騎』の神崎兄だよな……。番組開始前の掲載インタビューの頃からシリーズ構成の虚淵玄さんが『龍騎』を意識してることは語られていたりで、何度も感想内で書いてるけど、闘争の勝者しか願いを叶えられない(生き残れない)『龍騎』の「次」を描こうとしてる物語が『鎧武』という感じ。

 このままだと『龍騎』と同じく、優衣ポジションの一人の少女が犠牲になり(オルタナティブ舞と同一存在だろうか?)、70億の人類は救われました、世界は均整を取り戻しましたエンドが、ゼロ年代作品の文脈までなら見えるわけです。でも、『鎧武』には「その犠牲が出ることを受け入れている世界システム」自体と戦う本然を持っている男、紘汰がいる。虚淵玄さん脚本としては、『劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語(感想)』も、「一人犠牲になって世界を均整に導いた少女」の救済措置的な物語でありました。どうしても、作家性として2013年〜2014年の時点で描いておきたい物語なのやもしれない。

 戒斗の親の町工場が巨大資本(強者)のユグドラシルに淘汰されたこと、ヘルヘイムという強者に地球人類が淘汰されそうになっていること、あるいは序盤のダンスチーム同士の陣地争い、果ては紘汰の社会的に弱い立場だとバイトが決まるのすら難しいというパートまでここに入るのではと思ってるのだけれど、「勝ち残った強者のみが栄える」、という「禁断の果実を求める的衝動」に根差した世界システムの業であって、それは『龍騎』の「勝ち残った勝者のみ願いが叶う」という世界観と同種のもの。今話にいたってはシドですら、そんなシステムの犠牲者であったゆえに力を求めた的な描写があります(やられる直前の台詞から、例えばイジメなのか虐待的なものなのか、何かしら強者に虐げられる立場にいた人なのでしょう。)。

 そんな悲しい世界システムの中でみんな生きてるので、それをぶち壊そうという志向を持ってしまってる紘汰こそ強くなれ、って、自身もそんなシステムの犠牲者の戒斗さんが言う所がボロ泣きであったよ。戒斗さん、口では強者が弱者を搾取するの辺り前ってずっと言ってるのに、ここぞという所で弱者を見過ごせない(印象的には、闘争をやめて傷を負ったバロンメンバーを尊重してた時とか)の本当カッコいいな。

 その流れで、次回最強の力である「極アームズ」登場。「力による弱者の淘汰が前提の世界システムを認められない人間こそが力を使う決断をする」であろう所が「龍騎サバイブ」登場と重なる感じであり、否応なしに高揚する展開。モチーフは信長みたいだけど、力による天下統一とは別解を求める信長的な感じになるのかな。



須賀貴匡
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
2014-07-11


→前回:仮面ライダー鎧武第30話「赤と青のキカイダー」の感想へ
→次回:仮面ライダー鎧武第32話「最強の力!極アームズ」の感想へ
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