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本日発売の、赤松健先生の『UQ HOLDER!』(ユーキューホルダー)、コミックス第4巻の感想です。
収録話数に関して、「週刊少年マガジン」の雑誌連載時にタイムリーに書いていた感想の再掲載をしつつ、最後に少し追記です。単行本派の方はこの記事から読んで頂けたらと。
ネタバレ注意です。
●Stage.29「ナンバーズ達の実力」
「闇の魔法(マギア・エレベア)」じゃなくて、ルキ達の助力が要因になって南雲に勝利、というのがポイントなのかな(刀太本人も「あんたはコイツらに負けたんだよ!!」と言う)。
「闇の魔法」はネギ関係の祖先から歴史的に受け継いだ力で、それが助力してくれるのは大変ありがたいのだけど、それとは別に今の現代に生きてる人の力が決着要因になる、と。作品としては『ネギま!』の文脈だけで勝利するんじゃなくて、『UQ HOLDER!』の新しい要素(ルキたちの存在や重力剣など)に焦点があたって勝利する、と。
また、南雲に何度も化け物呼ばわりされても、自分は人間だと言う刀太のパートも面白い。『ネギま!』の頃の普通の人間じゃないことに悩んでいた刹那の話から繋がってる感じ。あとは『ネギま!』の頃のエヴァも含めて、人並の幸せを生きることは無理みたいに思ってた人達を、明日菜が精神的に救済する、みたいな流れがあったのだけど、そうするとポジション的にアスナ=刀太な感じなのやもしれない。
●Stage.30「戦いの後には」
前提として、神鳴流を使う点、人外の存在である点、性的マイノリティである点、などで、『UQ HOLDER!』の九郎丸と『ネギま!』の刹那がちょっと重なるように描かれていると思う事。
刹那の精神的な救済の第一歩は「京都編」だったのですが(明日菜に自分の存在を同定して貰える所)、「京都編」のラストもエヴァが見開きで氷の魔法を使うと、今話と共通。やっぱり色々と繋がってるのが意識させられる形式になってるんじゃないかと。
エヴァ自体が刹那にかなり非幸福者側の人間として同族意識を持っている、というのが『ネギま!』で描かれていたのですが、そんな刹那と重なる九郎丸。その何処にも居場所がないと感じていた九郎丸が、花火で仲間に助けを求めたということ。エヴァが助けにやってきたということ。色々と繋がっている。九郎丸本人は刹那という人がいたということを知らない辺りも、現在生きてる人間は知らずに歴史的な文脈に守られているみたいな感じで良い。
そうして、焦点があたっている九郎丸を筆頭にマイノリティたちの宴の風景が描かれる。不死者、性的マイノリティ、貧民、老人、人外、みんないて良い。それは、マイノリティ意識で苦しんでいた刹那を、明日菜が同定することで救済した物語の、「その次」の風景という感じで。
大規模資本や量産化・複製化・画一化がキーで、敵役にみんな同じ格好の戦闘服を着た集団や、複製された自動機械人形を描いていただけに、このむくむくと色んな存在がいて良い、酒(かどうか分からないけど)を酌み交わして良い。そんな場所があって良い、という風景は綺麗。
●Stage.31「新たなナンバーズ」
今回から新展開っぽく、新たなナンバーズの桜雨キリヱが登場。Stage.6のラストに不死者たちがだーっと紹介されていたコーナーで、「死ぬと転生」「セーブポイントの設置」で描かれていた子ですね。死んだ場合、場所的にセーブポイントに戻るだけなのか、時間まで巻戻ったりするのか色々楽しみ。
刀太とバサゴのやり取りがけっこう面白かった。「俺の給料は関係ないだろッ!!」はじわじわ来る。リアルでも糾弾を受けた時に破れかぶれの決め台詞として使いたい。
ただお金のことにしつこく言及してるのは意味もありそう。作中の軌道エレベータ自体が進歩とか競争の象徴だと思うのだけど、そこには資本獲得競争も含まれてる作風なので。仙境館の「最上階のスウィート」が、「塔」と同じく高い尖塔的なイメージで重なる感じで。とりあえず、UQホルダー内で資本を一番持ってる桜雨キリヱが泊まってる、と。
第1話から「軌道エレベータはお金さえ出せば登れる」がオチに使われていたんだけど、それじゃ「塔の上を目指す」っていう刀太の当初の目的は、ただの資本獲得競争で上位を目指すことになってしまうのか、と言ったらそれはやっぱり何か違うわけで。
●Stage.32「桜雨キリヱの正体」
見開き右下部に、劇中の新関東圏の地図が。かなりの部分が水没して新東京湾になっていて、その中に軌道エレベータがあるって解釈でいいのかな。これ、どう考えても軌道エレベータ開発関係にはつくばが何か噛んでる勢いです。あの都市の人達凄いからな(個人的見解)。
前回からの流れで、軌道エレベータの上、仙境館の「最上階のスウィート」、そういう上へ上への志向っていうのはある程度資本獲得競争で勝ち抜く(お金を沢山獲得する)ということを意味してる世界観なんだけど、ちゃんと今話で一空先輩からつっこみが入っておりました。塔に上るお金を貯めるのが目的なのか、と。
刀太としてはそれは違うと。で、理由の一つに「故郷の友人たち」をあげていた感じ。
この、故郷の友人たちみたいな「共同体」と、上を目指す志向と、両方作中に入ってるのが『UQ HOLDER!』の一つの特徴だよな、と。上を目指して進歩だ、資本獲得だと邁進すれば、周囲の共同体は壊れていく(例えば上を目指して単身上京すれば、故郷の共同体とは離れてしまう)。塔に向かう話だけれど、一空先輩の境遇なんかは、明らかに上を目指して進歩していく中では勝てなかった側なわけで。「UQホルダー」自体がマイノリティの共同体なんだけど、九郎丸なんかに続いて、一空先輩もたいへんに世の大多数からはあぶれていた側、だけど生かされていた側として、マイノリティ側的。やはり時世も反映して、次の「共同体」にまつわる物語。
桜雨キリヱの不死能力はStage.6より「死ぬと転生」「セーブポイントの設置」までは分かってるのですが、これは「アンタはもう6回も私を守れなかったのよ!」発言からすると、ループ的な要素も入ってる感じなのかな。『ネギま!』だと超編を思い出す感じです。
『ネギま!』より、ループとかパラレル世界ネタはもうアリな世界観なので、『ネギま!』最終回で明日菜が見た未来軸の麻帆良学園にあった軌道エレベータと、『UQ HOLDER!』のアマノミハシラと同じものなのか? の謎(単行本第1巻の巻末でわざわざこの謎がクローズアップされていたりもする。)もその辺りのギミックで解決可能なのかな。個人的には、『ネギま!』にあった、超が未来で遭遇していた「悲劇的な出来事」の時間軸に『UQ HOLDER!』でリンクする、という展開とか、やっぱり見てみたいのですが。
●Stage.33「リセットOK!」
「ループもの」に関して、ゼロ年代の物語の核心部分を一話でクリアしてるのが凄いです。つまり、「孤独にループを繰り返すヒロインが物語終盤でループを共有してくれる理解者を得る」というそれだけで一作品作れる部分を、桜雨キリヱは他人の心もループに連れてこられるという設定で、一話でクリア。今話時点で、桜雨キリヱは孤独なループ少女ではなくて、刀太というループの共有者がいることに。既に仲間がいるほむらちゃんというか、『ひぐらしのなく頃に(解)』の「祭囃し編」まで、『魔法少女まどか☆マギカ』のTVシリーズ12話分は、もう前提にしましょう、くらいの勢い。そこはクリアした上で、2014年に「ループもの」設定で何を描こうとしてるのか大変楽しみです。
フェイトも「UQホルダー」の「真の敵」として出てきたけど、色々ギミックがありそう。フェイトもだけど、『ネギま!』の不死者的エース格が時間を超えて(作品を超えて)登場してくるのは盛り上がるな。第24話(感想)より、龍宮とか茶々丸辺りは本当出てきそうだし。
●Stage.34「キモ刺客、再び!」
前回書いたのに引き続き、「ループもの」に関してゼロ年代の物語にあった部分を、数話でやってしまう勢い。扉絵にもあった通り、桜雨キリヱが姫ポジションで刀太が騎士ポジション、姫側がループ能力持ちで、果たしてループする姫を救えるか? っていう構造はまあ「『ひぐらしのなく頃に(解)』」とかなんだけど、今話でもう姫の救済ミッションはひとまず達成してる感じ。
一空先輩と九郎丸がやってきてくれたのが、六回目のループで刀太の言動が変なことに気づいて来てくれたのだとしたら、これまたゼロ年代ループもので、トゥルーエンドへの重要条件として描かれていた「仲間がループの現象を認知する」も、達成してしまっている感じ。
ゼロ年代ADVで隆盛したループ作品は素晴らしく、KEY作品とか神がかっていたと思うのだけれど、2014年型の『UQ HOLDER!』としては、ループを繰り返しながらトゥルーエンド(メインヒロイン生存エンドみたいなの)を目指すという物語構造自体、メインにそえるにはもう一昔前のものくらいの前提なのかもしれない。作風として現実で頑張ろうよというのは感じているので(『ネギま!』でいう「完全世界」に逃避するんじゃなくて、現実で、というような話)、ループ世界の自意識の旅とかもうイイから、この危機的な現実何とかしていこうよくらいの勢いなのかもしれない。
って書いたタイミングで、ループとか(ギャルゲー含む)ゼロ年代ADVと縁が深い、赤松先生の『ラブひな』が文庫版でまた刊行開始。永遠の温泉旅館に逃避したり、現実で戦ってみたり、消費者忙しいな……。
●Stage.35「避けるべき未来」
前回、前々回に引き続き、「ループもの」に関してゼロ年代の物語にあった部分を高速でやってしまう系。今回は、いわゆるバッドエンドが描かれます。一周目はバッドエンド(で、トゥルーエンドに向けてループを繰り返していく)の構造のゼロ年代ADV作品だと、一周目もかなりじっくりプレイする形式のものが多かったですが、『UQ HOLDER!』は一話で一気に描いてしまう方式。
これ、この数話のフェイトに全滅させられるという短いスパンの物語でのバッドエンドと、もっと大きい物語における未来のバッドエンド(予想するなら『ネギま!』で超が言ってた未来の悲劇的な出来事)が重なるように描かれてる感じなのかな。まずこの数話のバッドエンドを変えられるなら、もっと大きなバッドエンドも変えられ得る、と。
刀太から見てお祖父ちゃんの代のネギの因縁で、フェイトに全滅させられてしまう、というのは、祖先の代の縁が悪意として今の自分に向かってくる『ジョジョ』三部方式です(荒木先生もインタビューで、もっとも怖い事を考えた際に、自分とは関係ないような祖先の関係性で悪意が向かってくるのは怖いと考えて三部まで構想した、というような趣旨のことを語っておられます。)。「闇の魔法」が発動した時のように祖先の縁が今の自分を助けてくれることもあれば、逆に今回のように祖先の代の因縁で凶事が向かってくることもある、と。メタに祖先の代の縁は旧作、今の自分は現在の作品とも読めるので、メタフィクションとしても深い感じ。
●Stage.36「キリヱの秘策…!」
最近書いてたように、キリヱの能力が出てきて以降の展開はゼロ年代ループもの作品(主にADV作品)の要素を入れてるとすると、「どうせやり直せるから」っていう考えはネガティブ要素なんですよね(一空先輩の、どうせやり直しでなかったことになるんだろ発言あたりとか?)。そうではなくて、一度切りの、一回性のこの現実にコミットして生きようよというのが作品のメッセージだったりしたわけで。そっちの方の要素を考えると、キリヱのループ能力を前提にしないで、この一回の現実で本気になる方が、これまでのゼロ年代ループ作品を踏襲してる感じはするのでした。
ただ一方で、ちょうど前回の感想で『ジョジョ』をあげたからだけど、『ジョジョ』の第7部以降特に、ループとかパラレルワールドは前提としつつ、そういうのを超えて受け継がれる「黄金の魂」もある、みたいなのを最近荒木先生描いてるフシがあるのですよね(参考:ジョジョの奇妙な冒険第7部『スティール・ボール・ラン』のネタバレ感想)。現在の第8部『ジョジョリオン』も、自分のルーツとは? というのを並行世界込みの世界観で描こうとしてる作品な気がしますし。
そういう意味で、最近のトップクリエイターが描こうとしてる事柄として、『UQ HOLDER!』も、ループとか並行世界とか、世界観としては出てくるのだけど、それを超えるネギ→刀太で伝承されてるものもあるよ、みたいな感じになっていっても熱いかもしれない。
ちょうど今話でも、ネギとかフェイトとか、あと後姿で明日菜とか木乃香とか刹那とか夕映とか出てきてるからだけど、並行世界でゆさぶりかけつつ、やっぱり歴史とか作品を超えての伝承とか浮彫になってくるとかってのはイイんじゃないかと思うのでした。
●Stage.37「フェイト・アーウェルンクス」
フェイトVS刀太だけど、メタに前作VS今作の勢い。闇の魔法とか、前作との関連要素ではなくて、重力剣という今作要素だけで前作の最強クラスに挑むという構図で引き。逆にフェイトには前作要素を十分に纏って戦ってほしいので、一空先輩を刺したのは調(しらべ)らの『ネギま!』での戦災孤児組のフェイト従者たちの誰かだったりしないかな。テーマ的には栞(記憶喪失の刀太と重なる感じの「記憶改ざん」)とか出てくると熱い。
祖父の代の縁が力を貸してくれることもあるのだけど、敵として襲ってくることもある、というのは前から書いてますが、『ジョジョ』三部のディオ的な脅威です。ここ数話の展開も、祖父の時代の脅威、ディオがエジプトで待ってるんじゃなくていきなり前線に来ちゃったと思うと緊迫した展開。冒険初期のジョジョ第三部パーティで、そんな脅威を退けられるか的展開。
●Stage.38「作戦決行!!」
チームバトル凄い。僕的に赤松先生の描くベストチームバトル戦は、『ネギま!』の魔法世界突入時のネギパーティVSフェイトパーティだけど(魔法先生ネギま!/マガジン感想/188時間目「強いぞ、ネギ・パーティ!」/2007年)、既にその水準。動きがあるネームと、チームの連携が描かれるバトルは読んでて脳の娯楽中枢を刺激してきます。
一空先輩を刺した存在が京都弁に刀ということで神鳴流関係者だとすると、そこに九郎丸の雷くないで対抗という図は、「神鳴流」カテゴリでの「前作文脈VS今作文脈」。
そして、フェイトVS刀太にも言うまでもなく「前作文脈VS今作文脈」がかかってるので、動きがあるだけじゃなくて、色々象徴対決にもなってるバトル。刀太と九郎丸の今作組は「ないもの同士」(UQ HOLDER!/感想/Stage.22「ないもの同士」)ですから、実際フェイトが纏っている魔法だとか、お祖父ちゃんのネギは頭を使って作戦を練るタイプだったとか、そういう前作文脈の凄みに対して、何もないなりに刀太が重力剣の物理攻撃力のみで一瞬だけフェイトの予想を上回る絵は熱かったですよ。
フェイトの魔法陣は曼荼羅のようで、現れた新手も仏僧みたいな格好で、フェイトさんはなにやらブディズム(仏教)系の文脈を使うようになってるのですかね。まあそこまで意図を入れてないかもですが、こっちも背後の文脈が豊富かつ重厚なブディズム的輪廻みたいなのに、ゼロ年代の想像力(失われた20年程度の積み重ね。でも『ネギま!』とか連載してた期間)的なキリヱのループ能力で対抗みたいな感じで熱い。
●Stage.39「戦闘続行!!」
前作の夢の共同体「白き翼」が今作では敵に回って出てくるという熱い展開。「3-A」とか「白き翼」とかをある種の拠り所(実際、明日菜とか超とかの救済の役どころを「3-A」メンバーの共同体が担っていた)として描いていた前作『ネギま!』なんだけど、もう「白き翼」はあの頃の理想の共同体じゃなくて、明日菜も夕映ものどかもいないし、何か謎の新キャラに入れ替わってしまっているのね。『UQ HOLDER!』第1話の冒頭自体、あの理想的な共同体だった「3-A」が時間の流れの中で壊れていくのを描いていたのだけど、これは切ない。入れ替わってるメンバーも「契約社員」だったり、月詠さんはいるけど身体が替わっていたりと、何かと「代替可能」が強調されています。それこそ『UQ HOLDER!』第1話の冒頭的な「永遠に続く共同体なんてないんだ」という無常観。そんな代替可能な敵共同体になってしまった前作文脈「白き翼」に、悠久性を志向する今作文脈の共同体「UQホルダー」が挑む、という構図。各々が所属共同体を口にしながら名乗りをあげる所は高揚するところです。バトルシーンも、色んな所で背景に搭(軌道エレベーター)が描かれていて熱い。ネギの理想の象徴ですが、その理想を追って行った結果、3-A共同体は壊れ、何やら「白き翼」は敵に回ってしまっている。
キリヱの能力に関する物語も、「そんなにポンポンやり直して…」と、ゼロ年代ループものADVが最終ルートで到達するような「一回性へのコミット」にもう到達してるようで、相変わらず高速回転で回す作劇で熱いです。ゼロ年代の次の物語を読みたいと思ってるので、このテンポは好きです。
ここまで描いた上で、それでも「悠久性」のようなものはある。前作と今作の断絶とか、時間の流れの断絶の中で壊れなかったものもある、と持っていくのだと思うのだけど(というか持っていってほしいのだけど)、どうゆうものをその手の作中の真実性として描くのか楽しみ。やっぱ明日菜とか出てくるのかな。何か、「3-A」共同体組にも、断絶を超えて伝承してる人とかいると熱いと思うのだけど。
●Stage.40「あの時」
前作文脈の変わってしまった「白き翼」VS今作文脈の「UQホルダー」。前作文脈の「魔法拳士」に、今作文脈の重力剣「剣術・格闘術」で猛攻をかけるというのは熱い展開。
前回、新しい「白き翼」は契約社員だったり月詠さんが義体になってたりと、何かと「代替可能」がキーワードなのかなと思ったのですが、それに対する「UQホルダー」側は、代替してしまわないで(他の世界に代わりはいるからとこの世界に残してしまわないで)ナンバーズががっちり手を繋ぐという。地味にループもの作品で世界が変わっても繋がってる絆的な展開でもあるので、こっちは何らかの「悠久性」がキーワード。
ラストは、フェイトとエヴァが対峙して引き。
おそらくは、フェイトは昔の「白き翼」、エヴァは「3-A」という共同体を時間の流れの中で失って、その喪失と孤独から代償行為として、フェイトは新しい「白き翼」、エヴァは「UQホルダー」を作ったのだけど、その新しい共同体に対比があるって表現なのかなと。フェイトの新しい「白き翼」が「代替可能」だとするとフェイトはネギの代替物として刀太を求めてるフシがあるようにも見えるし、一方でエヴァは、ネギの存在に関しては何らかの「悠久性」を見出そうとしてるとか、そんな感じかなぁ。
●第4巻単行本感想追記
総じて、「色んな存在が色んな存在なりにいてよい」という共同体・徒党を作中是として描いているフシがあって、それは前作『ネギま!』で言うと「3-A」という共同体だったり「白き翼」という共同体だったりしたのですが、今作『UQ HOLDER!』はそんな前作の夢の共同体は時間の流れの中で崩壊した所から始まってるのですね。
代わりに、画一的な姿・武装で資本の拡大のみを追う「民間軍事会社」とか、代替可能になってしまった「変わってしまった『白き翼』」とかが出てくる。
そんな中で前作の「3-A」の文脈を継いでいるのが「UQホルダー」という共同体で、相変わらず、「色んな存在が色んな存在なりに」いる。異人、性的マイノリティ、ロボ、ループ能力者、そしてネギの文脈を継ぐ刀太、などなど。
そんな中で、個人的に心動くのは、次巻ではより顕著になってくるけど、前作的な文脈が生きてるのが今作でも明らかになってくる所ですかね。リアルでも、『ネギま!』が連載してた頃とは世相も変わって、あの頃の共同体って壊れてる側面があると思うのですよ。地域共同体も学校共同体も会社共同体も壊れかけてるという社会でも話題になってるような事柄から、『ネギま!』ブロガーとかやってた人達も、現在は(特にそのままの姿では)ほとんど残っていない、みたいなネット上の話まで。
だけど、あの頃の何らかの価値観の共有とか、発信とか、全部無駄だったかと言ったら、そうは言いたくないわけで、何かしらの悠久性がある文脈を取り出して、今に生かしていけたらという気持ちがあり。『UQ HOLDER!』という作品はそういう感覚の理想形を作品にしてる感じです。
リアルの方も、例えば昔『ネギま!』同人とか『ラブひな』同人やってた人がオリジナル描きはじめて「絶版マンガ図書館」に参戦(最近収録漫画のKindle化も始まったので、海外向けもより視野に入ってくると感じています)、むくむくとその人なりの色を開花させて常世をネットにリアルに飛び回る。そういう人たちが気が付けば謎の徒党になって駆ける、みたいに、面白い方に進んで行ったりすると良いのですけどね。
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→前回:UQ HOLDER!(ユーキューホルダー)」第3巻の感想へ
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→「UQ HOLDER!(ユーキューホルダー)」「週刊少年マガジン」連載分のタイムリー感想の目次へ
→「魔法先生ネギま!」マガジン連載分感想の目次へ
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→クーネギ推奨!ネギと結婚するのは古菲説・まとめ