ネタバレ注意です。
弱いダンスチームは強いダンスチームに奪われる。戒斗の親の町工場は巨大資本のユグドラシルに淘汰された。そんなユグドラシルもより強大なオーバーロードに淘汰された。力が強い存在が、弱者を淘汰して進化していく世界。というこれまで作中の随所で描かれてきた事柄に対して、弱者が踏みにじられない世界を目指してる所までは紘汰と戒斗と同じ。で、二人の対立点は、戒斗は一旦力でこの現行世界を淘汰してから新世界を創造しようというのに対して、紘汰はまだこの現行世界にも価値はある派。弱者を淘汰するためだけじゃない「本当の強さ」のようなものが、この現行世界でも実現できるはず派。
という最終決戦にて、紘汰が勝利。ラストが素手での武器(力の象徴)破壊で、その槍の尖端で戒斗を貫く。力の求道を求めた戒斗自身がその力に貫かれるのも象徴的。シドにしろレデュエにしろ戦極さんにしろ、力のみを求めた者は、その代償として自らも力によって滅ぼされる世界観でありました。
勝利した紘汰、黄金の果実の力で、舞と一緒にヘルヘイムやらインベスやらを引き受けて二人で新天地へ旅立つエンド。誰かが犠牲になって現行世界は均整を取り戻しましたエンドの観点からすると、『龍騎』エンド的であり、『魔法少女まどか☆マギカ』(TVシリーズ)エンド的でもあるのだけど、犠牲を引き受けるポジションなのが一人ではなく、紘汰と舞の二人になってるのが救いになってる風味。「一人で抱え込むな」と、紘汰が苦しい時(裕也を殺してしまったことに苦悩していた時)舞が言ってくれたこと。逆に舞が一人で黄金の果実の力で超常存在になった時は、紘汰が舞に言ってくれたこと。お互いがお互いの救いになってる辺り、『龍騎』エンド的、『まど☆マギ』エンド的なあり方に対しては、世界がどうこうという話を一人背負い込むんじゃなくて相方をつけてやろう、そこから何かが変わってくるかもしれないと、一歩進んだのを表現してくれたのかもしれない。
作中で重要だった、第8話(感想)にて初めて描かれ、度々キーになってきた「強さ」にまつわる戒斗と舞の問答のシーン。より強者になって相手を淘汰できるような力を手にすることが強さだ、と語った戒斗に対して、そういう強者に淘汰されるような立場になっても、折り合いをつけ、形を変えながらでも「舞い」続ける類の強さがあるはずだ、と語った舞の「強さ」。最終戦で紘汰が口にした「本当の強さ」は舞側の強さかと思われますが、その強さが現行世界で実現するのかは、残された者達に託されたという描き方をしていると解釈。
主には二人焦点があたっていると思って、一人は城乃内。
印象的な第25話(感想)の城乃内の台詞。
「もうランキングなくなっちゃったんだよな」(城乃内)
「ランキング」に象徴されるような、より強い存在が弱い存在を淘汰しながら上にのし上がっていく世界の中では、城乃内は「勝ち上がれなかった」人間の代表の一人。
だけど、そんな強者になれない弱い自分と折り合いをつけながら生き続け、今回もヘルヘイムの侵略という強者による淘汰圧を受けた後の現行世界で、なんとかかんとか大変でも生きていく……そういう人間達の代表の一人として描かれていたと思いました。凰蓮の存在が救いになってるのも、苦しい状況でも一人ではなく他者と支え合いながら折り合いをつけて生きていく、という今作の強さ要素という感じ。
もう一人は光実で、前話で貴虎兄さんの幻影に言われていた通り、「何者にもなれなかった」人。人を裏切り、罪を犯し、そして勝てなかった弱い人間。そういう人間がどうなるのか? というのはこの作品の核心と言ってもよいと思うのだけど、ラストは貴虎兄さんが目を覚ますエンド。
サガラが舞と見ていた並行世界で、もう可能性を摘み取られてるとか評していたように、貴虎兄さんも光実も、世界がどうこうという話の中では勝てなかった側の人間なわけです。作中で描かれていた強者が弱者を淘汰して栄えていくルールの中では、淘汰される側の人間。物語中盤まで貴虎兄さんが捕らわれていた一人を生かして六人を殺す世界観からしたら、排除される側の人間。
だけど、そんな側の人間でも、苦しい現行世界で何とか生きていく。一人ではなく二人なのが救いなのは上述と同じ。舞が語った、紘汰が最後に口にした「本当の強さ」をこの現行世界で実現できるのかは、光実と貴虎兄さんの今後に託された、という描き方だと思いました。強い存在に淘汰されそうになっても、折り合いをつけながら「舞う」類の、「本当の強さ」。次回、最終回で光実がもう一度ダンスを「舞」った所でフィナーレかな。
罪を犯した人間と、病院にて大事な人が目を覚ますシーンで終劇というのは、これも『龍騎』っぽくしてるのかな、と思いました。光実も貴虎も、この後もこの苦しい世界で生きていかなきゃならないのが、蓮と恵里とは、少し違うエンド、という感じ。
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