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ネタバレ注意です。
三太と他の「UQホルダー」メンバーを対照していくと色々面白いです。三太も「UQホルダー」メンバーも、普通だと世から排斥される側、マイノリティー側なのは同じなのだけれど。
例えばキリヱは、現在の作中世界で「持ってる者」に分類される劇中で言及されてる要素のうち、「魔法の素質」と「(アプリなどを買える)お金」のうち、「お金」は持ってる存在なんだよね(「UQホルダー」のパトロンで仙境館の最上階に泊まってるという設定)。
一方で一空先輩は、世界全部を壊したいと思わざるを得ないような三太や小夜子に比べて、80年間世界の善意に生かして貰った立場で、逆に世界に恩返ししようとか思ってる。
なので、この二人は三太と対照するなら、わりと持ってるものは持ってる感じがするかもしれない。
そうなると、やっぱりStage.22「ないもの同士(感想)」で本当に何も持ってない二人として描かれた刀太と九郎丸が、持てるものがはびこる一方で持ってないものは淘汰される世界、そんな中で本当に持ってなくて淘汰された(イジメで殺された)三太にあたっては、キーになりそう。
このエピソード、作劇上、三太が立ち上がるなり、何かするなりしないと最後の一ピースがハマらないと感じているのだけど、そこで、刀太や九郎丸のような三太の先行者的な「持ってないもの」の描かれ方に、鍵があるように思う。
ここで、だいぶ前(2008年!)の「物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために」さんの『ネギま!』記事にリンクを張ってみるのですが。↓
●アスナの記憶喪失との対比/物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために
引用。
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基本的に、この作品は、負の力で得た力であっても、それは力じゃないか!というメッセージがあって、僕は凄く凄くそれを愛しています。なんというか、現実的で。そういうものだもの、人生。
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2014年の今読んでも、僕としてもまったく同感です。
僕の当時の『ネギま!』感想にも言及リンクして貰ってますが、明示的に台詞にされてるのは例の四葉五月の、
「誰かを恨んだり何かから逃げたりして手に入れた力でも・・・・それは立派なあなたの力です」(『魔法先生ネギま!』73時間目より)
ですね。
ネギま! 以降の赤松先生の作品に通底されてる価値観かとも思います。
だから、『ネギま!』の頃の明日菜も望んで手に入れたわけじゃなかったアスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアとしての力で最後に事を成しますし、そういう虚構的な、負の時間で手に入れた力でも、それは「力」で世界に意義をもたらし得るということが、記憶喪失中(望んで記憶喪失になったわけじゃない)のユエが手に入れた魔法とかアリアドネー騎士団との仲間との絆とか、そういうものはやっぱりホンモノなんだよ、という展開に重ねられて描かれていたと思います。
で、『ネギま!』との断絶と連続を描いてるフシがある『UQ HOLDER!』でもこのテーマは繋がってる気がして、まず一番は九郎丸ですね。前々エピソードでは、夏凛先輩に突きつけられた通り、九郎丸本人の過去っていうのはいわば上述の負の時間で、望んで剣とか身に着けたわけではなかったわけです。
だけど、「ないもの同士」のエピソードを通じて気持ちが昇華されて、その負の時間、虚構的な時間に身に着けた神鳴流の力を使って、南雲たちの攻勢の中、花火を使って援軍を呼ぶわけです。望んで身に着けたわ訳じゃない神鳴流のしかも宴会芸だけど、使えるなら使うよ、的なタフさというか。で、それが決め手になる展開でありました。
そして、刀太。彼は魔法も使えないし、一応「持ってない」側のキャラクターなんですが、まあネギから受け継いでる(と思われる)「闇の魔法」とか、実は持ってるキャラなんですね。あと、今話でも中国拳法っぽい技つかってますが、相変わらず僕はネギと結婚したのは古菲説を推してますので(こちら)、これもネギの才能を継いでるというよりはお祖母ちゃんの才能なのかなと思ってます。
虚構的な時間、負の時間に身に着けたものでも現実に生かす、自分が知らない歴史からリソースが供給されてる、と、九郎丸と刀太でちょっと違いますが、両者とも、「ないもの同士」、「持ってない側」なりに、現実を変える力を抽出してるという点があると思います。
で、そんな二人が先行者な感じで、三太も死んでしまって、幽霊として引きこもりとして虚構的・負の時間を送っていたわけなのですが、これやっぱり、何かそんな負の時間とか負の力からも、意義を抽出しなおすんじゃないのかな。死んでからの記憶が曖昧だっていう状況も、『ネギま!』のアスナや夕映、今作の刀太と重なりますし。この、時を超えて、作品を超えて、厳しい現実の中で、虚構的な時間・負の時間の力といった類の「チカラ」と再契約してみせる、っていうのが描かれたら、とても熱いと思うのですけどね。
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→前回:「UQ HOLDER!(ユーキューホルダー)」Stage.52「襲われた街」の感想へ
→次回:「UQ HOLDER!(ユーキューホルダー)」Stage.54「ゾンビ化」・Stage.55「さようなら」の感想へ
→『UQ HOLDER!(ユーキューホルダー)』コミックス第1巻の感想へ
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→クーネギ推奨!ネギと結婚するのは古菲説・まとめ