掲載される度(現在は隔月)に書いてる気がしますが、『グランドジャンプPREMIUM』で連載中の筒井大志先生(ブログTwitter)のアイドル漫画『IDOROLL(アイドロール)』が引き続き面白いです。



 今回掲載が第5話で、ファーストエピソードが一区切り、11月19日(水)にコミックス第1巻が発売とのこと。

 第1話はお試し的にこちらからWEBでも読めます。
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●第5話/感想

 バンド仲間から切られた主人公(一乃)、過去にイジメを受けていたヒロイン、過去に人生を注入して推していたアイドルが恋愛スキャンダルで脱退して以降、特定の推しも見つからず気持ちがフっ切れなかったアイドルオタクのヨシくん、三者三様に傷(いずれも広い意味で人と人との連帯・繋がりが切れるような出来事に起因している)を負っていたのだけど、今話の「途切れかけたライブを仲間のために続行する一乃」と「その瞬間を見て一乃を推すと決めたヨシくん」のシーンで、三人の「再生の始まり」をリンクさせて描いてるのが、作劇凄い。まだファーストエピソードだけど物語力あるのが感じられる作品。

 もう、今話冒頭では評論家的な感じで登場してきたヨシくんが純真な応援者に変わる瞬間が描かれているのがね。肩車してもらってポーズ決めてるヨシくんは絵としてはギャグなんだけど、ここからもう一度本気になる。なれる! っていう捨て身の勢いがあるので大変に感動的。そこまでして応援して貰えたから、バンド仲間に切られて以来セルフイメージに傷を負っていた一乃がもう一度頑張ってみようと思えた、という構成も綺麗。

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 世間的にHOTワードにもなる「無縁社会」的な方向での世相も相成り、何かと人と人との「分断」、それにともなう孤独が意識される昨今。

 劇中でも、搾取もイジメある世界(社会)だと描いてるのだけど、地下アイドルという「場」に一瞬の善性(そしてそれはやはり何らかの形の繋がりの再生、人と人とのリンクに起因する感じになってる)みたいなのが出現する瞬間を、切り取っていると思います。第1巻が来月発売。応援。

→追記:第1巻の感想へ