ネタバレ注意です。
監督、軟禁される。
そんな中、本編は2Dか3Dか問題。遠藤さんの家のローンの話がちょっと入ることで、遠藤さんのこだわりも道楽ではなく、3Dに仕事を取られるかどうかという生存競争の側面があると分かる。
さらにこの問題が、本当に2Dと3Dがゼロサムでしかないのなら絵麻と美沙も競争相手になっているという所までかかってくる。絵麻の住居も安いアパートといった描写も相成って、深刻な感じに。「みんな一緒」の「輝いた」共同体とかいうのは学生時代だけの話で、厳しい社会人編としては、ふぁっきん自由競争資本主義社会を、お互いゼロサムゲームしながら生存競争していくしかないのか、という。
ただ、北野さんが示唆していたように、競合というより、2Dと3Dが共進化するような道もあり得る。そして、エンピツがタブレットに変わってもセンスは必要。軟禁されてる監督の前に広がる、コンテ用紙、エンピツ、消しゴムがカッコいいです。『裸の催眠術師』の頃の栄光は消え、『ぷるんぷるん天国』の汚名から干され、奥さんも去っていったが、監督の頭の中にある「センス」こそが、無形の財産。
これ、『けいおん!(!!)』的女子学生五人組作品のアフター、社会人編として、それぞれの道に進んだ五人が最終的にアニメーションという媒介で再合流する物語だと思うのだけど、そのままでは競合してバラバラになる力学で離れて行ってしまうような、2Dの絵麻と3Dの美沙が合流できるかは、『えくそだすっ!』最終回の監督のコンテにかかってるような展開に。軟禁されて目にクマという状況ですが、本当に神コンテは上がるのかハラハラです。あと『ぷるんぷるん天国』も、しずか(「あぁ〜ん、いぃ〜」とかは上手い)が合流する伏線だろうか。
総じて、そのまま我欲に捕われて自分のジャンルだけを押していくだけだとバラバラになる力学が働く所を、制作進行という全ジャンルに関わるあおいが、統合するポジションの人として成長していく感じに……ということで、第4話で一人だけボンヤリとしていた将来の話、あおいが監督になるのかな。
ここ数話吉田玲子さんが脚本ということもあるかもですが、アニメーション制作が題材のお仕事ものっぽくありながら、やってることの核心は「そのままだとバラバラになってしまう輝いた紐帯を、何か次のステージの共同体に進めることはできないか?」という『けいおん!(!!)』や『ハナヤマタ』と同じなのは面白いです。
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→次回:『SHIROBAKO』第6話「イデポン宮森発動篇」の感想へ
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