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 アニメ『SHIROBAKO(公式サイトニコニコチャンネル)』第7話「ネコでリテイク」の感想です。仙台にて地方遅れ視聴中。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 「ラスコーリニコフまじキャラ立ってます」(今井みどり)

 笑った。確かにキャラ立ってるが。

 みどりの特性として、『グイン・サーガ』にしろ『罪と罰』(ドストエフスキー)にしろ、エラく重厚で長い物語を志向しているというのが描かれております。

 これは本当らしい。『ガンダムSEED』の福田監督(最近だと『クロスアンジュ』のクリエイティブプロデューサー)なんかも、クリエイター志願者は、最近のアニメとかラノベよりもまとまった名作超長編小説(その時例にあげてたのは確か司馬遼太郎)を読み込む時間を取った方がイイってアドバイスしてたのが記憶に残ってたりします。

 で、そういう「長い時間かけて」、黒崎政男の『デジタルを哲学する』で言う所の「時熟」で醸成される能力に対して、絵麻の(原画マンとしては)「スピードも追及しないといけない」という苦悩が描かれていた一話。

 時間をかければかなりのものが描けるのだから、そうさせてあげたいと思う所なのだけど、カレーを作り置いて昼はアパートに戻って食べてるような極貧生活が描写されてる絵麻だけに(この「カレー」を作り置く。わりと極貧生活時代「あるある」ネタ)、スピードも伴えるかどうかは「食べていけるか」「生きていけるか」に繋がる逼迫した問題なのだった……。

 これ、ベテラン、先輩から新人への「伝承」要素も大切に描いてる作品なので、総作画監督補の井口さんが絵麻が落としたドーナツ(夢の象徴)をキャッチする、落させないってシーンが象徴で、何かしら先輩がきっかけくれるんだろうな。第3話の逆襲開始もあおいにとっての「制作進行」の先輩の矢野先輩から開始だし、しずかも講師の先輩からきっかけ貰ってたし。

 ふぁっきん弱肉強食競争資本主義大人社会の厳しさを背景に描きながら、その中でそのままでは分断に向かう人たちを、横軸(学生時代の輝いた五人の大人時代版のような何らかの「共同体」の模索:前回の感想参照)と縦軸(ベテラン、先輩から新人への途切れない何かの伝承)で、繋げるものの可能性を描いている作品。

 絵麻への「時熟」を尊重してあげたいあおいの気持ちは、そのまま(監督がスピード出ないでまだコンテ上がってない問題があるのに、あおいが最終回担当という点で)自分にブーメランで返って来る構成といい見事。

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→前回:『SHIROBAKO』第6話「イデポン宮森発動篇」の感想へ
→次回:『SHIROBAKO』第8話「責めてるんじゃないからね」の感想へ
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