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 アニメ『SHIROBAKO(公式サイトニコニコチャンネル)』第11話「原画売りの少女」の感想です。仙台にて地方遅れ視聴中。

 ネタバレ注意です。
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 引き続き、劇中で色々な「分断」が描かれる。意外と野心家らしい落合さんはカナンに移って行ったし、本田デスクも武蔵野アニメーションをもうすぐ辞めてしまう。中々に、みんなバラバラになっていく。

 メインの五人からして、大人世界では学生時代のようにはいかなくて、基本的にはバラバラの場所で活動しているというのも描かれている本作。それに加えて、昭和型の一つの会社にある種の共同体としてコミットして仕事にあたるという生き方も崩壊した後の社会に劇中の人達も生きてるので、アニメーション制作といっても、一つの会社の中で完結するわけじゃなくて、色々な社外の様々な人生を歩んでいる人たちが関係していくのですね。同人誌描いてる人、外注の地方の小さい会社の人達、原画マン一つとっても会社に属してる人から、家でフリー形態でやってる人たちまで、そういう人たちも、社会的に「分断」されていると言えばされている。

 そして、そんな人たちの間を、(原画売りという目的のためとはいえ)繋ぐように駆け回る宮森あおい制作進行。この、分断の繋ぎ人みたいなポジションのあおいが、劇中で一番カッコいいと個人的には思っております。

 そして、元々第7話〜第8話であおいのお姉さんに焦点があたっていたように、「家族」についても描かれていた本作ですが、矢野さんのお父さんが(おそらく)危篤という展開で、上記の「分断」にはこれもまた現代的に「家族の分断」も色濃く入っている感じに。そう言われてみると監督が奥さんと別れてるのもこの要素ですか。アニメーション制作しかり、というか「仕事」が忙しすぎて「家族」とは離れて行ってしまう問題。そのわりには、「会社」というのは「家族」を代替するほどの共同体にはなれてないというこの現実さポイズン。

 という所で、これは優しい世界を理想として切り取ってる感じだけど、太郎が矢野さんをお父さんの所まで送るという展開が描かれる。太郎は劇中では散々言われてるけど、こういう状況の時、こういう何だか明るい人がいるっていうのイイですよね。大人になってそういう場面を経験すると身に染みて分かる。太郎も車を運転してる描写が豊富で、燃え回だった第3話(感想)もクライマックスで瀬川さん(外部の原画の人)の所に行くために運転してるし、あおいほどストレートな描写ではないけど、分断の繋ぎ人ポジションなのだった(ちなみにあおいも運転してる描写が印象的に使われている)。

 みんな優しくてこの一連のシーンは泣いた。家族が倒れた、危ないというシチェーションで、側にいてくれる人が有り難く、社長さんとか年齢的にもう何度もこういう場面は経験しているであろう、お父さんの元に向かう矢野さんに渡したのが紅茶とサンド(食べ物)というのも「分かってる」感じ。少し糖分が入った飲み物を口にしたり、軽食を口に運んだりしてる間に落ち着いてくるものなんだよね……。

 世界は「分断」され壊れちまったのさポイズン、というのを背景に、こうしたその「分断」を繋ぎ得る描写を積み重ねておいて、いよいよ「アニメーションが分断された人々を再合流させ得る」ということを「可能性として」描いてきた本作、劇中アニメ『えくそだすっ!』最終回の話が次回でしょうか。地方遅れ視聴なのでBSフジだと観られるのが1月11日なのですが、少し早くWEB配信で観ちゃう予定。

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→前回:『SHIROBAKO』第10話「あと一杯だけね」の感想へ
→次回:『SHIROBAKO』第12話「えくそだす・クリスマス」の感想へ
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