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 アニメ『SHIROBAKO(公式サイトニコニコチャンネル)』第19話「釣れますか?」の感想です。仙台にて地方遅れ視聴中。

 ネタバレ注意です。
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 この世の(社会の)仕組みの中で、一度バラバラになっても、再合流できるんじゃないか。あるいは、バラバラになったとしても、(主にはアニメーションを媒介にして)繋がり続けてる途切れないものはあるんじゃないか、という本作。

 メインのあおい、絵麻、しずか、美沙、みどりの五人のメンバーのこのストーリーラインに重なるように、「現在の武蔵野アニメーションのメンバー」、「四十年前の武蔵野動画のメンバー」、劇中作『山はりねずみアンデスチャッキー』がレイヤーとして重層構造で描かれるという凝った一話。

 「四十年前」のレイヤーでは、丸山社長がデスクで、現在のあおいポジションだったと分かり、涙。当時から親の病気とか、システムに翻弄されることとかあったのだけれど、時を超えて、あの頃のメンバーが実際合流してきたり、まだ同じ仕事を続けていたり……が、現在のあおいら五人組の願いの希望にもなっている。

 「現在」のレイヤーでは、こちらも「再合流」を体現してみせた矢野さんが無双し、いかにも社会のシステムには適合できなかった感あふれる池谷ひろし演出が合流してきたり。次回予告が落合さんで、これ、落合さんも何らかの形で最後出てくるのだろうか。

 アニメーションの世界に夢を持ち続けてるあおいと、夢からは覚めたと述懐する平岡さん。システムのつじつま合わせ優先で人が消耗品化しバラバラになっていく力学のもと、あおいも夢を失いかけるほうにちょっと行ってしまうのだけど、そういう力学のカウンターとして出てきた「持続する好きな気持ち」という概念。四十年以上、やり続けてるという人がいる。そんな人、仕事に触れてあおいも立ち戻る。「バラバラになっても途切れないものはある」というテーマ上、その「途切れないもの」の象徴のような四十年を超えても繋がり続ける好きという熱情が出てきたので、残り話数も考えると、これがあおいが獲得するものとしては一番強いものになるのかな。あおいの原点の『アンデスチャッキー』が絡むのも見事。主人公が一番大事なものを獲得したので、ここから逆襲のターン。

 「五人組」のレイヤーでは、あおい、絵麻、美沙、みどりが『第三飛行少女隊』の仕事で奮闘する様が描かれる一方で、今話ではしずかの描写はゼロ。残り話数、あと五話なのか。しずかが合流する所が最クライマックスなのかな。

 「輝いた」学生時代の五人組共同体のアフターとして、『けいおん!(!!)』のアフター、大人世界編的に視聴していた本作ですが、学生時代どころか、四十年前にもそういう「輝き」はあって、お年寄りのような年齢になっても何らかの形で途切れないなんてことがあるのなら……という所まで描かれて満足。親は病気になり、進んでいく社会の中で歯車になり、みんなバラバラになっていく世界かもしれないけれど、途切れないものはある。そういうものを「白箱」に封じ込める。そうして出来た作品が、また次の世界を生きる人々の共有体験となり、リンクを作っていく。良い作品でした(あと五話!)。

→Blu-ray(第3巻には劇中劇アニメーション「えくそだすっ! 」第1話 同梱)

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→前日譚コミックス、大変良かったです。ネタバレ感想はこちら。

SHIROBAKO ~上山高校アニメーション同好会~ (1) (電撃コミックスNEXT)
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→前回:『SHIROBAKO』第18話「俺をはめやがったな!」の感想へ
→次回:『SHIROBAKO』第20話「がんばりマスタング!」の感想へ
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