ブログネタ
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 に参加中!
 アニメ『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(公式サイト)』第22話「Necessary」の感想です。仙台にて地方遅れ視聴中。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 マナの光で万能で完璧な世界とか、それを壊すリベルタスだとか、エンブリヲの二つの世界を融合させて新しい世界をとか、とにかく周囲は様々な共同幻想を敷いて個人を洗脳(と言ってしまうけど)にかかってくるので、周囲がそんなだからこそそれに揺さぶられざるを得ないアンジュという人間の内面のドラマが映える、という構図がある今作。

 第1話からアンジュは色々変化してきたのだけど、主には第1話の頃は無知・無条件でこの世界を肯定、第10話の頃は逆にこの世界をブっ壊すという段階でした。そして、第22話、今話がアンジュの心の変遷の決着回だと思うのだけど、辿り着いたのは、第1話の頃とは違う意味で、どれだけ不完全で愚かでもこの世界を肯定しよう・守ろうというもの。

 そこに至るまで、タスクが死んだと思ったので自殺しようと思った、だができなかった。本当の意味で一人では何もできないと知った時、タスクが生きていた。そういうタスクが生きていたと知るまで、知った時までの心情の流れと、だったらやっぱりこの世界は輝いて、美しく見える、やっぱりこの世界を守ろうという心情に至るまでの流れが丁寧に繋がっておりました。第1話時点の胡散臭かった表層的なエアリアのチーム内の繋がりの描写とか、第10話で描いたような家族といえども無条件には信じられなくて共同幻想の前に裏切られるという話とか、今話のもうエンブリヲしか拠り所がないサリアにクリスや、子供達を失ったエルシャ、ついに独りになってしまったシルヴィアの描写などなどが背景に積み重なっていたので、いかにタスクが生きていたことが、本当の意味でアンジュが側にいてほしい人だと気付いたタスクが生きていたことが、ただそれだけがアンジュにとって劇的だったかが際立つ。

 と、共同幻想めくるめく世界の中で、胸の奥に確かなものが宿るようになった。その時至った世界に対する態度は、この泣いて、笑って、怒って、罵り合って、愚かで不完全な世界ごと守るというものだったという所で、ライダースーツはタスクの母の紫のものに、髪は前々回書いたように皇女の頃と戦士の頃の中間の長さ、側にはあらゆる共同幻想にあてがわれた繋がりとは違う本当に信頼できるタスクとモモカ、、母から貰った指輪(この世界で生きることとのエンゲージという比喩なのだと思う)に口づけをするとかつて世界を滅ぼした兵器のヴィルキスさんは今度は世界を守るために参上、さあ行くぜという熱い引きでした。古い視聴者の僕としては、迷い、翻弄され、苦しんだ物語の末に心の奥の譲れない部分でステージアップして再び発進という、『ガンダムSEED』第34話ラストのキラ&フリーダムガンダムとか、『ガンダムSEED DESTINY』第42話ラストのアスラン&インフィニットジャスティスとか、そういうノリの2015年ヴァージョンでありました。

→Blu-ray



→PSVITAのゲーム



→前回:『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』第21話「遺されるもの」の感想へ
→次回:『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』第23話「ゆがむ世界」の感想へ
『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』の感想目次へ

【関連リンク】

→当ブログの『機動戦士ガンダムSEEDDESTINY』の感想はこちら
『機動戦士ガンダムSEED』の感想はこちら(大昔のHTMLWEBサイト)