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 アニメ『SHIROBAKO(公式サイトニコニコチャンネル)』第23話「続・ちゃぶだい返し」の感想です。仙台にて地方遅れ視聴中。

 ネタバレ注意です。
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 『けいおん!(!!)』的な女子五人組の輝いた女子高生時代が終わったとしても、厳しい大人世界で五人は輝きを持続したまま再合流できるのか? というようなストーリーがあった本作(第4話〜第6話は脚本が『けいおん!(!!)』のシリーズ構成の吉田玲子さんだったりも。)。ラスト2にて、ついに最後の一人、しずかが『第三飛行少女隊』の制作にキャサリンの妹ルーシー役の役者さんとして合流してあおい、絵麻、しずか、美沙、みどりの高校時代の「ドーナツの誓い」が果たされる。エンディングも五人が高校時代の輝きのまま大人になったような特別ラスト絵に。感無量でありました。

 第14話(感想)のしずかがオーディション受けた時のキャサリンの台詞、


 ありがとね、アリア。私を助けてくれて。あなたが私のために流してくれた見えない涙と血は絶対に忘れない。


 を十分にメタファーに使っている構成が見事でした。

 第20話(感想)辺りから顕著に描かれているように、作中作『第三飛行少女隊』のアリア=宮森あおい……の比喩があるので、ルーシーを動機としてアリアがもう一度この世界のために飛ぶっていう作中作の展開が、そのまましずかがいたからあおいも生きてるって比喩になってるのですね。アリアが流した涙とか血は、それこそアニメーション制作であおいが流してきた涙と血でもあるので、ラストシーンであおいが泣いているのは、もちろんしずかのために泣いてるんだけど、自分の夢なんてよく分からない(=アリア的には飛べないかもしれないまま)まま頑張り続けたあおいが報われたからでもあるという。しずかがここまで辿り着いたことが、あおいを救ってもいる。あおいが頑張って『第三飛行少女隊』の制作を進めなかったら、しずかが報われることはなかった。逆にしずか(=ルーシー)がこの苦しい大人世界だとしても、この世界を「私はずっとここにいようかな」と肯定してくれるから、あおいは報われる、飛べる。という相補関係。

 『第三飛行少女隊』内の過酷な世界は、みんながバラバラになっていってしまったり、平岡さんが絶望しかけたり、親が倒れたり、競争の末に食べていける者と食べていけない者が出たりする、この厳しい現実世界でもある。第20話の感想でも書いたけど、「仔牛」は新しく生まれてくる存在とか、繋がりとかの比喩かと思います。そういうものを頼りに、この苦しい世界でも、「ここにいようかな」って、それこそ苦しかったしずか(=ルーシー)が言う。彼女がそう言ってくれる世界なら、あおい(=アリア)は飛べる。飛ぶ意味がある。アニメーションを作り続ける意味がある。大げさに言えば、「生きてて良かった」っていうあおいのラストの涙のシーンですよ。

 五人組の再合流は決まったので、最終回は、そこから大人世界なりにもうちょっと広がった人々との繋がりを描いて、それこそ和(=ドーナツの輪)の風景のように終劇させるのかな。どうしようもなく苦しい大人の現実社会だけれど、『けいおん!(!!)』的な輝きの続行を続けること、報われること、あり得るかもしれないという所まで描いた見事な作品でした。

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→前日譚コミックス、大変良かったです。ネタバレ感想はこちら。

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→前回:『SHIROBAKO』第22話「ノアは下着です。」の感想へ
→次回:『SHIROBAKO』第24話(最終回)「遠すぎた納品」の感想へ
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