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 アニメ『響け!ユーフォニアム(公式サイトニコニコチャンネル)』第一回「ようこそハイスクール」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 『けいおん!(!!)(感想)』が終盤そういう話に入っていったからというのが大きいと思うのですが、京都アニメーション作品では、『Free!(感想)』『甘城ブリリアントパーク(感想)』など、「一度壊れた(分断されていった)共同体を再生する物語」が、文脈を継ぎながら続いています。そして、今作『響け!ユーフォニアム』もその文脈にあると思われる作品。

 『Free!』における幼少時のスイミングスクール、『甘城ブリリアントパーク』におけるいすずさんが担当したパっとしなかった再建一年目の甘城ブリリアントパーク、そのような、悔いを残した「一周目」の過去の共同体として描かれているのが、今作では中学時代の久美子が所属していた大吉山北中学校吹奏楽部です。

 その「一周目」の共同体に残った悔いは二つ描かれていて、麗奈は明確に「悔しい」と言っている通り、上昇志向の元、競争を勝ち抜けなかったことに悔いを残している。『けいおん!(!!)』で言えば、武道館に行けなかったことに悔いを残している。

 一方で、久美子は人間関係の方、麗奈に言ってしまった「本気で全国行けると思ってたの?」という言葉に悔いを残している。こちらも『けいおん!(!!)』で言えば、唯が梓との人間関係に澱みを残しているがゆえに、「この講堂が私達の武道館です(だからダメ金でも輝いている)」とまではその時の「輝き」を確かなものにできなかったという悔いを残している。

 それら二つの悔いを、『Free!』における岩鳶高校水泳部、『甘城ブリリアントパーク』における西也が赴任してからの甘城ブリリアントパークといった、「二周目」相当、本作での北宇治高校吹奏楽部という共同体での物語で浄化していく物語構造。この世界ではどうしようもなくバラバラになっていくはずなのに、久美子と麗奈は再び出会った、というこの「運命の二人」感すごいですね(笑)。

 「バラバラになっていってしまった共同体」要素は、中学時代の吹奏楽部だけじゃなくてもう一つ描かれていて、家族、姉妹共同体もですね。久美子と姉の麻美子は昔は吹奏楽を媒介に仲良く一緒に暮らしていたのだけど、社会の力学の元、今ではバラバラに暮らしているのも描写されています。こちらも、『けいおん!(!!)』で言えば、あんなに仲良しだった唯と憂の姉妹が、バラバラになってしまった後の物語。

 姉妹を繋いでいたのは吹奏楽という描写なので、久美子が中学から途切れずに高校でも吹奏楽を続けるというこの第一話が、上記の中学時代の共同体の縁の久美子と麗奈の縁の続行になってるだけじゃなくて、久美子と麻美子の縁の続行という描写にもなってるのですね。

 この、過去の共同体に残った悔いを、次の共同体で新しい形なりに浄化し、でも途切れずに続いているものも探していく、というストーリーラインは、メタに『けいおん!(!!)』という作品に残った悔いを、この『響け!ユーフォニアム』という作品で浄化してみせるみたいな感じで熱いですね。

 このアフター『けいおん!(!!)』(2009年〜2012年)的な、「一度バラバラになった共同体を何らかの形で再生、続行し、違うカタチなりに途切れないまま前に進んでいく物語」としては、当ブログでは『ハナヤマタ』と『SHIROBAKO』(2014年)をプッシュしておりました。↓


『けいおん!』と『ハナヤマタ』で重ねられている演出とその意図について

SHIROBAKO/感想/第24話(最終回)「遠すぎた納品」(ネタバレ注意)


 この二作もアフター『けいおん!(!!)』文脈の作品としては素晴らしかったのですが(実際吉田玲子さんが脚本など、『けいおん!(!!)』スタッフも参加されてる)、いよいよ2015年に当の京都アニメーションが、最高の『けいおん!(!!)』の次の物語見せてやるよみたいで否が応にもテンションが上がりますね。

 第一話のラストの言葉は、


 「そして、次の曲が始まるのです」(黄前久美子)


 今こそ、「Utauyo!!MIRACLE」の「延々続行」の歌詞を思い出す時ですね。

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響け!ユーフォニアム 1 [Blu-ray]
黒沢ともよ
ポニーキャニオン
2015-06-17


→原作小説



→次回:『響け!ユーフォニアム』第二回「よろしくユーフォニアム」の感想へ
『響け!ユーフォニアム』感想の目次へ

【関連リンク:これまでの当ブログの京都アニメーション作品感想】

『涼宮ハルヒの憂鬱』最終回の感想はこちら
『けいおん!!』最終回の感想はこちら
『氷果』最終回の感想はこちら
『Free!』(第一期)最終回の感想はこちら

『中二病でも恋がしたい!』(第一期)最終回の感想はこちら
『境界の彼方』最終回の感想はこちら
『甘城ブリリアントパーク』第12話の感想はこちら

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