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 アニメ『響け!ユーフォニアム(公式サイトニコニコチャンネル)』第五回「ただいまフェスティバル」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 第一話から(制作スタッフ的にも・題材的にも)『けいおん!(!!)(感想)』を本歌にして「その次」を描こうとしてる 作品っぽいと書いてきましたが、「過去の共同体(中学の時の吹奏楽部)でいっしょだったけど、今では違う道を行く」久美子の友人の名前が「あずさ」なのはおそらく意図的なのだろうな(もちろん、あずにゃん=梓を意識させるようにしてるという意味で)。


 南宇治へ「みんないっしょ」のまま行った、中学時代の吹奏楽部メンバー達=同じ大学へ行った唯澪律紬。
 強豪校である六花(ちょっと表記不明)に行った「あずさ」=梓


 という含意に思えます。

 久美子はもう中学の吹奏楽部のメンバー達には会いに行かず、「あずさ」がフェードアウトして(おそらく久美子の意識から)消滅していって、久美子は北宇治高校吹奏楽部という彼女の新しい共同体の方へ合流してくる……というシーンは『けいおん!(!!)』の終わりを感じましたよ。

 『けいおん!(!!)』の「否定」というほど強いものではないかもしれないけれど、『けいおん!(!!)』的な共同体だけではダメだという所までは描いてしまった気がする。『けいおん!(!!)』最終回で歌ったような途切れない「ずっと一緒」の縁はあり得るとしても、それは「部室の中の軽音楽部」というだけではもういられなくて(そのフォーマットだけではずっと続行はできなくて)何らかの新しい形になっていくしかないと。

 久美子が今の自分の居場所として合流してきた北宇治高校吹奏楽部は、進歩志向派もいれば、このままで良い派もいる、熱心に練習に残る生徒もいれば、塾で先に帰る生徒もいる、内部に様々な分断が生じている共同体。吹奏楽部という共同体を社会全般のコミュニティに写像して描いてる感もある作品だと思うのですが、TVシリーズは2010年までだった『けいおん!(!!)』の時とはもう違う、社会的分断が顕著になった後の共同体って感じがします。それでも、考え方が違う者同士でも、実力に差がある者同士でも、同じ共同体の中で一緒に行軍していくしかない。今ではもう、競争(「りっか」と「らくしゅう」と比較され、優劣を判断されてしまう。競争に勝ち抜いて本物の武道館を目指さなくても、十分に一回性の輝きの中それだけで意義があった『けいおん!(!!)』の頃と違って)にさらされながら。

 ここまでが、主に本歌にカウンターを当ててる方のアフター『けいおん!(!!)』要素だけど、さらにもう一層奥の話もあって、久美子と「あずさ」、コンクールでまた会おうって約束してるのですよね。テーマ的な意味でのラスボスが「あずさ=(梓)」で、あらためて『けいおん!(!!)』最終回の「ずっと一緒」の意味が問われるという展開だったら凄いのですが。

 「あずさ」はフェードアウトし、昔のメンバーとももう会わない世界だけれど、何故だか昔のメンバーから途切れない久美子と麗奈の「縁」があり。そして、あちらも音楽を辞めてなかった「あずさ」と、本当に学校が別たれても、「離れていても」、そこに音楽を媒介にした何らかの繋がりがあり続けていたのだとしたら、それこそ本当の意味で、『けいおん!!』最終回の、「空に抜ける」=「学校の中だけの共同体は終わり、学校の外の世界での繋がりの話になる」演出の「先」の物語になると思うのでした。

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黒沢ともよ
ポニーキャニオン
2015-06-17


→原作小説



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→次回:『響け!ユーフォニアム』第六回「きらきらチューバ」の感想へ
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【関連リンク:これまでの当ブログの京都アニメーション作品感想】

『涼宮ハルヒの憂鬱』最終回の感想はこちら
『けいおん!!』最終回の感想はこちら
『氷果』最終回の感想はこちら
『Free!』(第一期)最終回の感想はこちら

『中二病でも恋がしたい!』(第一期)最終回の感想はこちら
『境界の彼方』最終回の感想はこちら
『甘城ブリリアントパーク』第12話の感想はこちら

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