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 アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ(公式サイトニコニコチャンネル)』第18話「A little bit of courage shows your way.」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 基本的には作中の比喩でいうところの「己の花」、一人一人の個性とかそれぞれの本懐とかを是とする作品なのですが、無条件で個性万歳とやってるだけだと、それこそSMAPの「世界に一つだけの花」の歌詞に対する批判のような感じで、あまりに進歩を否定したりいわゆる「頭がお花畑」感が出てきてしまうという視点もあるのか、ここ数話は、「己の花」・「個性」に対する逆風が描かれて、そこを乗り越えたり複合化することで「個」がステージアップする様が描かれていると思います。前回だと、共同体を存続するために自分の個性の抑制(カッコいい系のモードの服を着ろ)を促された城ヶ崎美嘉さんが、自身の可愛い系のモードも組み合わせた、何か一段上のステージに至ったように。

 今話の「個への逆風」は二つ描かれていたと感じて。


1.きらりへの、個性をネタにされてしまう視点。
2.智絵里とかな子で描かれた、進歩するために自分の個性を抑制してしまう圧力。


 「1」に関しては、背が大きい(個性)をネタにされてしまう視点があることを、きらりがどう決着つけていたのか、(たぶんわざと)明示的には描いていなかった気がします。表面的なきらりの言葉通り、本当にもう「至った」心境に達しているのか、そうではなくて本当はある程度傷ついていて、それでも笑っているのか。智絵里とかな子の逆風の中でも笑顔でいてほしかったという話とリンクする脚本なら、後者のような気がしますが。それで、本当はあるであろう傷ついてる気持ちを、杏に甘えるようにして緩和してるシーンが入ったと。

 「2」は、杏がいない状況だとアイドル競争社会の中で勝ち抜けないかもしれない智絵里とかな子が、淘汰圧の中で、自分の個性を抑制してしまう方向に一旦いってしまうという展開。お菓子を食べず、ダイエットしてる(自分の個性を否定している)かな子という絵は痛々しかったのです。なのだけど、競争社会の中での標準をクリアするために、自分の個性を殺すのはしょうがないことだ、我慢しろ……という圧力がかかるのは、現実社会あるあるネタでもあります。そういう抑圧に対して、様々な突破口や次のステージを描こうとしている作品。

 こっちは、杏がいない状況でも、幸子先輩がきっかけをくれた……という、ここ数話で描かれていたと感じる「一つの共同体のみで完結しない」パートで、二人のステップアップを描いていたのかなと。CANDY ISLAND共同体のメンバー内だけでも、シンデレラプロジェクトメンバー内だけでも完結せず、外部から助っ人が来る。また、外部の人達とも交差していく(今話でも、北条加蓮らを誘う凛のパートが)。リアルな世の中も共同体が崩壊気味で大変なことになってるのですが、ピンチになる度に次々と徒党のアイドルが助っ人してくれるので、何とかなる、的な世界観は面白いのでした。

 そうして、ラストでは自分の個性を抑制気味になっていた智絵里とかな子が、切子細工にお菓子や花(二人の個性の象徴)を合わせると発想し、それぞれの本懐を取り戻しつつ、また何かと組み合わさってステージアップする様が描かれる。色とりどりの切子細工という絵が、第一話から続いてる比喩における「それぞれの花」と重なっているのだと思われ。やみくもに「個性大事」を語るのではなくて、逆風はもちろんあるよという世界観の上で、少しずつ「個」とか「自分の本懐」が進展していくというストーリーは最先端だと感じます。前回のカッコいいモードに可愛いという己の個性を合わせる美嘉といい、切子細工にお菓子や花を合わせる今話といい、総じて複合化しながらも、己の個性も消さない……っていう方向になっていくのかなぁと感じております。

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→前回:『アイドルマスター シンデレラガールズ』第17話「Where does this road lead to?」の感想へ
→次回:『アイドルマスター シンデレラガールズ』第19話「If you're lost, let's sing aloud!」の感想へ
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