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 アニメ『Charlotte(シャーロット)(公式サイトニコニコチャンネル)』第十一話「シャーロット」の感想です。

 本作及び麻枝准氏の他作品のネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 麻枝准氏の作品では、守られた世界の中で児童性を有したままいられた時間に対して、外の世界は過酷である……というのがしばしば描かれていると感じています。

 『CLANNAD』も学園の中の高校生時代と違って、外では、仕事、病気などなどの「過酷」があるという前提の大人世界編、アフターストーリーが展開されていきます。『リトルバスターズ!』なら、そのまま内に閉じた虚構の児童性世界から、外の現実の過酷に向き合うまでが物語のエッセンスになります。

 今作でも、隼翼が作った学園は(上記の文脈込みでも)「内」「庇護下」の意味合いが付与されていると感じます。今話で有宇と歩未が、ずっと組織の閉じた秘密基地で過ごすことになりそうだ……という下りに、違和感を感じた視聴者もいたと思います。加えて、有宇からは、日本や自分の身近な所だけが重要で、海外、外の世界のことはどうでもイイんじゃないか、みたいな台詞まで一旦出てきてしまう。こういうのは、「内」に閉じているパートとして描かれていると思います。そういう前提の上で、「外」の世界からやってくる脅威が描かれる。

 まずKEY作品、麻枝准作品から東浩紀氏が影響を受けており、その東氏がゼロ年代後半に『仮面ライダーディケイド』を中心に平成仮面ライダーシリーズに評論で意味合いを付与した……という順番なので影響関係などはちょっと複雑ですが、僕がこの記事で書いていたような、↓


仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ/感想


 街の中さえ大丈夫なら良いのか? 外の世界は過酷なのに? といった問題意識が、今度は平成仮面ライダーシリーズから、『シャーロット』に引き継がれていると感じます。外部世界からの脅威がやってくる今話は、劇場版『仮面ライダーW』で、街に「外」の世界のテロリスト達がやってきてしまった段階ですね。

 その上で、今話では外の世界からの脅威に皆傷つき、熊耳も死んでしまうのですが、それは過酷なことであるけれど、トータルではそれでも「外」に向え、「外」と向き合えという方に物語は進んでいきそうな気配を個人的には感じています。『リトルバスターズ!』で、理樹と鈴が、それでも「外」の過酷な現実に立ち向かわなくてはならなかったのと同じように。

 「内」と「外」の対照では、


 内―外
 日本・学園の中―外の過酷な世界
 家族という内側の妹である歩未―外の世界の異性の奈緒
 地球―シャーロット彗星などの宇宙


 などが主要な項目です。

 以前の感想で、有宇の守るべき対照が、妹の歩未から異性である奈緒(彼女も「妹」)に継承されていく、シフトしていく(第七話(感想)を筆頭に、二人を重ねる演出がけっこうある。今話の「失ってからでは遅い」を歩未と奈緒で重ねるのも同様)ということを書いていましたが、このストーリーラインには、こういう、「内」の共同体で閉じてるか、「外」と繋がって行くか、という物語も含まれていそうということですね。「外」は、外敵がいる点でも、異性との関わりとの点でも、リスキーですが、それでも、そこが「次」の物語だと。

 また、以上の流れで、「外」とのコンタクトをトータルで是と捉えていく視点があるのなら、さらに大きい視点で、「内」である地球、「外」であるシャーロット彗星や宇宙……という構図も物語構造に組み込まれているので、その意味で「外」の宇宙からもたらされる「能力」は、単純に否定するだけでは終われないフェーズに既に入っていると感じます。

 学園内・日本内で閉じているだけではいられない、という方向性が今話で示された以上、世界中の「能力」について何らかの決着をつけないといけないのですが、有宇が「略奪」で世界中の能力を一時引き受けるとかなのかな。それだと、これまでも構成として『まど☆マギ』を意図して意識している作品だろうと書いてきましたが(第十話がタイムリープの種明かし回など)、ラストも主人公(あるいはヒロイン)が自己犠牲的に負を引き受けて、世界の方はルール変更されると、『まど☆マギ』と同じです。個人的には、その地点は物語として超えてきてほしいのですが。

 有宇と奈緒の関係がキーになって収斂させてくれそうですが、ほむらとまどかの関係と、有宇と奈緒の関係はちょっと違うって辺りを上手く絡めてくれたりしたら嬉しいかなぁ。

 この手のポスト『まど☆マギ』の流れでは、昨年の『仮面ライダー鎧武(感想)』もお勧め。こちらも、「内」の世界から始まって、どんどん「外」に抜けていく物語構造の作品ですね。こっちは、脚本も虚淵玄氏だったりしますしね〜。

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→前回:『Charlotte(シャーロット)』第十話「略奪」の感想へ
→次回:『Charlotte(シャーロット)』第十二話「約束」の感想へ
『Charlotte(シャーロット)』感想の目次へ

【関連リンク:これまでの当ブログの麻枝准作品感想】

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