アニメ『無彩限のファントム・ワールド(公式サイトニコニコチャンネル)』第2話「迷惑UFOをやっつけろ!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 というわけで本作も京都アニメーションのハルヒ文脈系作品である説。『ハルヒ』でハルヒが願った非日常的存在=ファントムとも捉えられるという話。まずは宇宙人編。これは、未来人編と超能力者編もくるのかのう。


●参考記事:『無彩限のファントム・ワールド』はハルヒの系譜?


 衒学パートは、送り手としては「何となくカッコいい味付けと思ってくれればイイ」くらいに捉えているのかもしれませんが、ちゃんとテーマとかと合致してる感じ。

 「パロール」が出てきたので、ソシュール的には「ラング」と「ランガージュ」も今後出てくるのかもしれない。

 ソシュールという言語学の祖みたいに言われている学者が「言葉」を上の三つに区別して捉えたのです。

 「パロール」は個人的な言葉。独り言とか叫びとかが入って、ぶっちゃけ他人に伝わらなくてもいい、マイ言葉、みたいな感じ。

 「ラング」は他人とか共同体内で共有できる言葉。我々が「リンゴ」という言葉を使って、すぐにあの赤い丸い果物を想像できるのは(お互いに通じ合えるのは)、我々が「日本語圏」という「共同体」を共有しているからです。こういうのが「ラング」。

 「ランガージュ」は、もっと普遍的な、人間という種がもってる言葉みたいな感じ。三番目のこれはだいぶ哲学的になります。

 で、今回「パロール」、これは「個人の言葉」っていうことで、第一話で描いた、「個人の本懐」と絡めているのだと思います。『甘城ブリリアントパーク』に『響け!ユーフォニアム』とか、最近の京都アニメーション作品は、この個人が本質的にもっている原初的衝動、本懐みたいなものにスポットが当たることが多かったですが。それが今作では個々人の能力だったり、それとリンクする「パロール」だったりすると。あるいは、「パロール」は中二的な言葉が多いのも意識してやっていて、たとえ中二的な要素でも、個人の本懐から出てきたイメージは尊重できたなら……っていう『中二病でも恋がしたい!』要素を継いでいるとも捉えられるかもしれない。

 で、本作では、


 玲奈の「食べる」という本懐。
 第一話で電柱付喪神が抱いていた「リンボーダンスで祭られたい」という本懐。
 個々人の能力。
 パロール。
 今話で晴彦が内面のイメージから作りだしたマルコシアス。


 この辺りは全て「世間からは評価されないかもしれないけど、個人が抱いている本懐」という意味で、同系の要素として既に描かれていると思います。で、それを尊重というか、寄り添おうよ、という要素がある作品なのかなというのは第一話の感想でも書いた通りです。

 なので、今回小糸さんがまだ仲間になった感じがしないのは、彼女の本懐要素がまだ見えないからなのかなと。ヘッドフォン付けてるし、能力関係から音楽関係なのかなとは思うのですが。

 さらに、彼女には「特別」ワードも出てきたので。


●参考記事:響け!ユーフォニアム最終回の感想〜ポニーテールと三人のハルヒ(ネタバレ注意)


 どうも彼女も孤高で独りで勝ち抜ける系の「特別」から、一般人なりの「特別」に至るか、それも尊重する方に進展する物語がありそうかなと。

 そして、晴彦が持ってる「内面のイメージを実現化して召喚する能力」は、端的には虚構実現化能力で、本歌的には『ハルヒ』で重要な要素だし、こちらの記事で書いた要素としては、『境界の彼方』の「境界の彼方」能力を、最初から晴彦は持ってるという主人公なのですね。↓


●参考記事:境界の彼方/第12話(最終回)感想(少しラストシーンの解説含む)


 というわけで、主要メンバーの誰かが晴彦が作り出した虚構(半虚構)存在なのかなと思うわけですが(本命はあの人だよな……。)。『境界の彼方』でもうそういう存在でもいていいよって言ってくれてるし、本作もそういう方向の作風を既に感じているので、わりと安心して観ていられます。

 第一話のおっぱいリンボーダンスも、わ、わけがわからないが、でもちゃんと境界(ロープ)を超える的な比喩にもなってる!? も面白かったんですが、今回の玲奈が春彦の指を舐めるシーンを執拗に描く……も、え、彼女の新(というか本当の:まだパロール使ってないから)能力があるかもの伏線描写にもなってるの!? みたいなのが面白かったです。

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→前回:『無彩限のファントム・ワールド』第1話「ファントムの世界」の感想へ
→次回:『無彩限のファントム・ワールド』第3話「記憶コピペ作戦」の感想へ
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【関連リンク1:当ブログの2015年アニメーション作品ベスト10記事】

2015年アニメーション作品ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)

【関連リンク2:これまでの当ブログの京都アニメーション作品感想】

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